【拍手お礼文】 今日はハロウィンだ。 リヴァイには…… 『今日初めて会う人には特別な挨拶をしなきゃいけない』と、エルヴィンに伝えて貰った。 リヴァイは、エルヴィンの言う事は真面目に聞くからね。 「なぁ、モブリット……何故こんな事をやらなきゃならねぇんだ?」 「親睦を深めるそうですよ」 「そうか……」 リヴァイのお供にモブリットを付けた。兵士達に挨拶をすると、お菓子を渡される。持ちきれなくなるだろうから……という理由だけど、察しの良さでは右に出る者のいないモブリットだ、私の意図を理解した上でリヴァイには悟られない様にしてくれている。 「兵長、おはようございます!」 「あぁ……と、trick or treat」 「はい! どうぞっ!」 「あぁ……」 これは、面白い。 ……面白くねぇ。 親睦のためとはいえ、何で俺は物乞いみてぇに菓子を貰って歩いているんだ? 「っ、trick or treat」 「兵長、どうぞ!」 女だけじゃねぇ、男も菓子を持って歩いているというのも不思議な話だ。兵士同士は普通に挨拶をしているが、朝一番の会議を済ませた後、部屋を出るとエルヴィンもやっていた。 「こりゃ、幹部だけなのか?」 「そうですね、普段中々関われないですからね」 ……そういう事なら、仕方ねぇ。 本部を歩き回ってから、執務室へ戻る様に言われたが、まぁ、命令だとその通りにしていた。 部屋に籠れば役目も終わりだろうと思ったが、次から次からやって来る。これじゃ仕事にならねぇと思ったが、その為のお供です……と、書類はモブリットが、書いてくれていた。 「もう……終いにしてくれ」 机に山と積まれた菓子を見て、俺が大きくため息を吐くと、モブリットが立ち上がった。 「さすがにもう、終わりでしょう。私はこれを出しに行きますので……」 「あぁ、悪かったな、菓子も好きなだけ待っていってくれ」 「では、半分だけ」 「あぁ……」 「皆も楽しそうでしたし、良かったですね」 「そんなもんか? だが……」 「どうかしましたか?」 朝からずっと疑問に思っていた……この挨拶の意味は何なのかと。 「Trick or treat とは、どんな意味なんだ?」 「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ……という、ハロウィンの時だけの挨拶です」 「だから、菓子を渡すのか。だが、そりゃガキのやる事じゃねぇのか?」 俺がやったら……まんま物乞いじゃねぇかよ…… 「それを幹部の皆さんがやるから、親睦になるのですよ」 「……そうか?」 「はい。では私はそのまま戻りませんので、お先に失礼します」 「あぁ、宜しく頼む」 訳のわからねぇ1日だったが、もうそれも終いだと、俺は肩の力を抜いた。 モブリットが出て行くと、またかと思うノックが聞こえた。 「書類をお持ちしました」 「あぁ……」 そいつは、俺が気に入ってるヤツだった。 「Trick or treat」 「……?」 首を傾げるのを見て、胸が騒いだ。 「菓子、持ってねぇのか?」 「えっ? あ、ありません……」 ポケットを探ったが、無いと困った顔をした…… 「今日は……ハロウィンだったんですね」 「らしいな。悪戯をしねぇとな」 「……そ、そんな……」 怯える姿にも楽しくなった。何をしてやろうかと考えながら、頭の隅でハンジの仕業だなと思いつつ、チャンスは利用するものだと……ソファーに座らせた。 「これを全部食え」 「へっ?」 「俺がそんな事を言われたら、倒れるだろうな。なんだ、平気なのか?」 「平気……じゃないです、どうしましょう」 「……俺が食わせてやる」 こんな日も、悪くねぇな。 「お帰り! モブリット」 「只今戻りました。兵長の執務室の外で、あの娘と擦れ違いましたよ……」 「今頃、どんな事になってるだろうね……」 「うまく行くと良いですね……」 「そうだね、この為だけにこんな1日掛かりの計画練ったんだ、上手く行かなきゃ困るよ」 リヴァイには、気になってる娘がいる。でも、自分から声を掛ける……なんて事も出来ず、見てる皆の方が限界だった。 そこで、兵士達にはただの企画としてお菓子を持って歩いて、幹部に挨拶されたら渡せと伝えてあった。でも、その娘には伝えていないし、さっきまで此処に閉じ込めていたから、そんな事も知らない。 「明日が楽しみだねぇ」 「ドアに張り付くんじゃないんですか?」 「馬……じゃなかった、リヴァイに蹴られるのは御免だよ」 「そうですね、ドアの外でもバレますよね……」 確かに、それもある。 「モブリットぉ……Trick or treat……」 「はい、分隊長どうぞ」 「……わかってるねぇ、さすがモブリットだ」 「兵長からも、半分頂いて来てますよ」 「やった! 出て歩けなかったからさ、貰えなかったんだよ……」 「そんな事だろうと……」 「ん?」 「ああ、ほら、分隊長……溢してます」 Happy Halloween ! 皆が笑顔で過ごせれば、それで良い。 おしまい。 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー お礼になるかわかりませんが、是非また来ていただけることを祈って…… [ *前 ]|[ 次# ] [ main ]|[ TOP ] |