その一片を染める想い



月明かりに映える
花を咲かせた大樹は

その光景を幾度となく
見守って来たのだろう

花の褥で寄り添って
降る花弁に祝福を貰い
想いを交わし誓い合う

幸せというものを

だが……
片割れを亡くした者が
頬を寄せ涙を流す様も
俺はそこで見ている

お前が咲かすその花は
祝福か哀悼か……

その花の命のもとは
落ちた涙なのだろうか

風か運んだ一片(ひとひら)を
掌に俺は歩き出す

俺は希望を担いでいく
お前はそこで……
見守っていてくれと
俺も大樹に想いを託す



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