Relation of a secret 5


街に着いて飯を食った後、俺は雑貨屋などを回っていた。

カップや歯ブラシ、タオルも新しい物を何枚か買い、後は何かと考えた。

「菓子も買っておくか」

他にも幾つか買い物を済ませ、荷物を抱えて歩いていると、見知った顔のガキ共が娼館の前で彷徨いていた。

「何やってんだ?」

普段なら素通りする場面だが、そういえばと声を掛けた。

「へっ、兵長?」
「教えていただいたので、来てみたのですが……」
「入り辛くて……」

お前等だったか。まぁ、気持ちはわからなくもないが……

「そうやって彷徨いてる方が、人目につくと思うが……」

この程度の事で狼狽えてどうするんだと言っても、足は動かない。

「……ほら、入れ」

ドアを開けてやれば、慌てて入った。

「客を連れて来たが、全員店は初めてだ。手取り足取り教えてやってくれ」

店主にそう言えば、「兵長さんは」と訊かれたが、俺は案内係だと断った。皆を奥へと連れて行くのを見て、店を出ると自室へと歩いた。

上手く出来りゃ……良いがな。

店の女達がリードして、そこは問題無いだろうが、ガチガチに緊張していた顔を思い出し、思わずクッと笑っちまった。

……何事も、経験だ。

足取りも軽く戻った俺は、買って来た物を整理して新しい本を開いたのだが……

間違えた……みてぇだな。

タイトルを見て買って来たのだが、中身は恋愛小説だった。仕方無くもう一冊買った方を読んだ。




終業の鐘を聞いて、私はゆっくりと空を見上げた。

綺麗な色……

夜の色と夕焼けの色が、幾層にもなって混ざっていく。
こんな気分で空を見たのは久し振りだと思いながら、夜へと移ろうのを見ていた。

「どうしよう……」

お風呂を済ませ、食事をしてから兵長の部屋へ行こうと思ったけれど、この時間は人も多い。シャツの中を覗けば、まだ確りと痕は残っている。こんなのを他の娘に見られたら、間違い無く訊かれるだろうと思う。

上手く誤魔化せるとも思えないし……

人が少なくなる時間を待てば、遅くなってしまう。悶々と考えていると、空はいつの間にか夜の色になっていた。

ここで考えていても、時間の無駄だと戻って着替え、食堂へ行けば……兵長も食事をしていた。

今……私を見た?

周りに人が居なければ、向かい合って座っている様な状態では、顔を上げる事が出来ずに黙々と食べた。
兵長が立ち上がるのが見え、顔を上げると……目が合った。フッと目を細めて私を見ると、兵長はそのまま出て行った。

『待っている』

そう言われた様な気がして、急いで食べて食堂を出ると、少し先の方で壁に凭れた兵長が見えた。

一般の兵士と幹部の部屋は、建物が別れている。人気の無い方へと歩き出した兵長を離れて追う様に歩けば、建物の入口を入ったところでまた、兵長は壁に凭れて待っていてくれた。

「お疲れ様です」
「あぁ」

会話はそれだけで、部屋まではまた、黙って兵長の後ろを歩いた。




ここを通れば人に見られる事も少ないだろうと、案内する様に……ナマエを気にしながら、なるべく人の通らない通路を歩いた。

部屋に入っても、ナマエはドアの前に立ったままで、俺の言葉を待っている様にも見える。いきなり、今日はこれをするというのも変だろうと思ったが、話す事があったとソファーに座らせた。

「飲め」

紅茶を淹れ、俺も座って飲み始めると、漸くナマエもカップを持った。

「朝話した件だが……」
「はい」
「エルヴィンの許可が出た」
「……そ、そうなんですか?」
「あぁ、明日辞令が出る」

驚いた顔をしているのを見て、気分が上向いた。たかがこんな事で"どうだ"と思う俺もどうかと思うが、「ありがとうございます」と言われれば、気分が良い。

「時間が惜しい……」

飲み終えたのを見て、俺は立ち上がった。慌てて立ち上がったナマエの手を引いて寝室に入り、ベッドに乗せた。

下着だけにすれば、痕はまだ残っていた。邪魔だと下着も取ろうとすると、そこでナマエが僅かだが抵抗した。

「すみません、お風呂に入って無いのですが……」
「あ?」

……そんな事か。

「問題ねぇ、後で使えば良い」

先ずはどうするかと考えた。咥えて幾ら、突っ込んで幾らと細かく設定してある。とすれば、出来るだけ色々ヤればナマエの稼ぎは増える。

先ずは……と、俺も全部脱いで座っているナマエの前に立った。




「しゃぶって勃たせろ」

目の前には普通の状態の兵長の***がぶら下がっている。しゃぶれというのは、口でという事だろうと口に含んで舐めたり吸ったりしていると、だんだんと大きくなってきた。

何で、こんなに変わるの……?

大きくなれば、苦しくなる。それでも、喉の奥まで届くのも我慢して続けた。

「そこまでだ」

声が聞こえるとすぽんと引き抜かれ、出るまでじゃないのかと顔を見上げれば、トンと押されて後ろに倒れた。

「声は我慢するなよ?」
「は、はい……」
「気持ち良ければ、イイと言え」
「は……い」

言いながら、兵長は胸を掴んで先をこねたり潰したりしている。

「んっ……」

声を我慢するなと言われても、どんな声を出せば良いのかわからない。考え込んでいると、「こっちに集中しろ」と叱られ、お仕置きだと指を差し込まれ、言葉でも責められた。

「あっ……ぁ……ダメっ!」

おかしくなっちゃう……

「違うだろう?」

止めて良いのかと訊かれ、嫌だと……もっとして欲しいならそう言えと言われ、そのまま言えば、兵長の指がナカで暴れて硬くなったところも弄られ……我慢出来ずに大きな声を出した。

「善かったか?」
「は……い……」
「今度は俺の番だ」

俯せにされ、腰を引き上げられた。お尻を高く上げた格好は……物凄く恥ずかしかったけれど、そう思った時にはグッと押し込まれ、そんな事はどこかに行ってしまう程、擦られて奥を突かれて声を上げていた。

上を向かされたり横向きになったり……今どんな格好なのかもわからなくなった頃、私のナカから兵長が抜け出した。

「今夜はこのくらいで終わりにしよう」
「はい……」

頑張ったなと私の頭を撫でると、兵長は隣の部屋に行ってしまった。

このくらいで……? って、もう、力が入りません……

やっとの事で起き上がると、風呂を使えと真新しいタオルを渡された。洗面所には歯ブラシも用意したから使って良いと言われ、フラフラと向かえば……可愛いコップと歯ブラシが増えていた。

これ、兵長が……?

お風呂から出ると、入れ替わりに兵長が入った。出るまで待っていろと言われ、ソファーに横になって待った。




風呂から出ると、ナマエはソファーで眠っていた。そのままベッドに運んで寝かせてやりたいところだが、明日は仕事だ。

「ナマエ、起きろ……」

すみませんと起き上がったナマエに、今日の分だと封筒を渡した。

「こんなに……?」
「あぁ、これとこれ、後はこれの分で間違ってないと思うが……」

頷いたナマエだが、何かを考えている様だ。

また、これは多いと……思うのだろうか?

普通ならば、それこそ一晩幾らと決めれば良いのだろうが、それじゃ大して稼げないだろうと考え、あれこれやって増やしていける様にした。

慣れたら、メニューを増やしてやれば、更に稼ぐ事も出来るだろうと考えているが、そこで、今朝思った事を思い出したが……それは無理だろうと蹴散らした。




兵長が料金表を指差し、その数字を足せば貰った物と同じ金額になった。

そ、そんなに色々してたの……?

されるままだった私は、驚いた。かなり細かく設定されているけれど……1回幾らという方がお得でしょうにと思って気付いた。

これは、私に稼がせるための設定なんだ……

兵長は、自分が得する事は考えていない。それこそ、そういう事がしたいだけならば、一晩だけでもと話している兵士も多い、そういう娘の方が得というのも変だけれど、そういう方法もある。

「ありがとう……ございます」

涙が、溢れてきた。こんなに良い人はそうそう居ないと思うと、感謝と申し訳なさでいっぱいになってしまった。

「泣く様な事があったか?」
「いえ、お気持ちが嬉しくて……」
「俺は何も……」
「リヴァイさんには、何の得も無いですよね?」
「無い事はない。態々出向く必要が無いのは、楽で良い。それに、これなら毎日でも出来るだろう?」
「えっ? ま、毎日ですか?」

揃って目を大きく開いた。

「例えば……だ。娼館に毎日行くのは無理があるが……という意味だ」

これが毎日だったら、多分、私が持ちません……

「そっ、そうですか」
「あぁ、仕事も訓練もある。無理はさせられねぇだろうが」
「すみません」
「いや、その事に関しては、俺がおかしいとわかっている」
「……?」
「別に我慢が出来ねぇ訳じゃねぇが……」
「……?」
「かなり……あれだ、性欲が強いんだ」
「……!」

思わずぽかんと口を開けて見てしまった。でも、それなら三日続けてそういうことをしているのも頷ける。

「無理な時は、言ってくれ」
「はい」
「金が足りなくてというなら、1回で出来るだけ稼げる様にしてやる」
「いえ、あの……そこまでは……」
「……そうか」

遅くならないうちに帰れ……と、石鹸を持たされ部屋を出された。

「匂いが違うと、変に思われたりするだろう? 俺が使ってるやつだ」

そう言った兵長に頭を下げ、「おやすみなさい」と背中を向けた。
来る時に通ったところを通ると、誰にも会わずに部屋まで帰る事が出来た。

ベッドに横になって大きく息を吐くと、思い出した。

性欲旺盛……なんだ。

更に、『英雄、色を好む』という言葉を思い出し、成程と思った。もしかすると、体力と性欲は同じなのかも知れないとも思った。

翌日、班長から辞令の紙を渡され、それから毎日、仕事の合間に兵長の仕事を手伝いながら、その日の予定を確認したり、終業間際に行けば、仕事が終わると口でしてくれと頼まれる様にもなった。

気遣ってくれているのか、それから3ヶ月経ったけれど、3日続けて抱く……という事は無かった。
そして、不思議な事に……私と兵長の関係については誰にも知られていない様だった。



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