思いもよらないハプニング
その次の綱引きも散々な結果に終わった。
準々決勝で生徒会と当たってしまうなんて。
4人1組だから実熊さんと他にがたいの良い3年の先輩3人で固めたのに瞬殺だった。
実熊さんが全く敵わなかった会長に副会長の織田 芳象(おだ よしのり)先輩まで居たんだから仕方ねぇけど。
副会長は背は俺と同じぐらいなのにガッチリしてて見るからに力強そうだしな。
あと会計はともかくあの清隆寺まで居る。
そんなメンバーと綱引きなんて勝てる気しねぇよ。
『えー、続きましては藤堂会長の特別緊急企画!「皆で楽しく玉入れターイム☆」です』
『部活間の親睦を深める為、各部活ごとではなく各学年ごとに分かれて玉入れを行います。全員参加で勝った学年にはなんと!素敵な賞品が与えられます!』
『この競技には配点はありません。各学年、賞品の為に玉入れを楽しんで下さい!』
「……何だそれ」
強制参加で、部活関係無しに学年対抗って事だよな?
まるで普通の運動会だな。
会長が何でこんな競技を入れたか知らねぇけど配点を気にしなくて良いならプレッシャーなく出来る!
玉入れなんてかなり久し振りだから楽しみだ。
他の部活の奴らは生徒会と交流出来るってはしゃいでるけど。
学年ごとって事は清隆寺も一緒かー…
「汰狼、行くぞ」
「お、おう」
差し出された手を握ったら反対の手も力強く掴まれた。
痛い痛い痛い痛い!
「獅希君だけずっこいわぁっ!汰狼君の左手は俺のもんー」
「分かったから手の力抜けぇっ!」
そのまま2人に挟まれてカゴの周りに移動した。
俺が男前で人気があるこいつらに挟まれたら目立つよな。
さっさと離れろ不細工って声が観客席から聞こえたけど不細工まではいかねぇだろ…!
そりゃこいつらに挟まれたら不細工かもしんねぇけどっ…あれ?それなら不細工じゃねぇか?
「剣道部さん、手を繋いだままだと玉入れ出来ないぞ?」
「汰狼君と離れたくないけど清隆寺君の言う通りやし…我慢するからご褒美ちょうだいなっ」
「何だそれ」
「汰狼、気にするな」
ご褒美って何だよ。
呆れてたら殺気を感じて向かい側に居る清隆寺に視線を向けた。
笑顔なのに、目が据わってる。
「仲が良くて本当に羨ましいよ」
周りの奴らが清隆寺の笑顔にキャーキャー言ってるけど俺には「男同士でむさ苦しいんだよ消えろクソが」っていう副音声が聞こえた。
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mokuji]