「ねぇドラコー」
「ドラー」
「ドラちゃん」
バンと机に本を叩きつけて、喋っていた女を睨みつける。
「誰だお前。馴れ馴れしいぞ」
「あ。初めまして。ドラドラのファンです。」
ニコニコ笑う目の前の女にいつもより更に眉間にシワを寄せる。なんなんだこの女。ネクタイの色からしてハッフルパフか…。馬鹿に構ってる暇は無い。
無言で席を立ったら、目の前の女も席を立ち僕の歩く後ろをついて来る。
この女どこまでついて来るつもりだ?まさかこれが噂に聞いたストーカーか!?
歩くスピードも同じで、僕の隣に来てパーキンソンのように腕に巻き付くわけではないようだ。僕に好意を寄せてるんじゃないのか?女というのは好意があると、腕に巻き付くものだと思っていた。
ドアを出る前に急に立ち止まると、後ろの女は僕の背中に突撃して“あたた”とおでこを押さえている。
「どこまでついて来るつもりだ、そんなに僕の事が好きなのか?」
振り向き、ニヒルな笑みを浮かべたら、女はポカーンとした後急に笑い出した。
「私自分の寮に戻ろうとしただけなんだけど。」
“自信過剰だね”とニヤリと笑う女にしてやられた。
数秒で気になる存在に。
「…名前を教えてもらおうか。」
「え、ストーカーするつもり?」
……誰かこの馬鹿の手懐け方を教えてくれないか。
090826