今日も階段でたむろしているスリザリン生集団。その階段を使わなくてもグリフィンドール寮に戻れるけど、私は毎日その道を好んで使っている。


けど、正直とても通りにくい。グリフィンドールというだけで笑われるし、足を引っかけられて階段で転けそうになるし、この間なんかパーキンソンに「貴女彼氏居ない歴が年齢と一緒なんでしょ?」と失礼な事まで言われる始末。あの時は流石にイラっとしたが、パーキンソンの隣に座ってるマルフォイの笑顔が見れたから全て帳消しにしてあげた。

そう、私が酷い目にあいながらもこの道を通る理由は、一瞬でもマルフォイの顔を正面から見れるから。
プラチナブロンドの髪から覗く綺麗な顔立ちの虜になってしまったのだ。つまりは恋。

話し掛けてもらえるわけでもない。ただ、一瞬目が合うだけ。それだけなのにすごく嬉しいと感じてしまうから困ったものだ。


明日は私に向かって微笑みかけてくれないかなーと淡い期待をしながら、他のうるさいスリザリン生を無視し、階段を上りきる。今私の後ろにいるスリザリン集団は私がどれほど明日を楽しみにしてるか知らないんだろうな。きっと“学習しない馬鹿な奴”程度に見られてるに違いない。


それでも全然構わない。だってマルフォイの笑顔が見れれば良いもの。たとえそれが私を馬鹿にして笑っててもね。言っておくけど切なくないから、無表情の方が切なくなるから!!笑ってくれてる間はマルフォイの中に微かに私が居るのよ。うん、なんて嬉しい事だろう。



そして今日もマルフォイに会えるあの階段に、るんるんで足を運ぶ。
けど、見慣れた集団は見当たらず、プラチナブロンドの彼だけが、手すりに寄りかかり、現れた私を見てニヤリと笑ってみせた。私の脳内フリーズしちゃうぞコノヤロー、な状態である。


本当にこんなチャンスあっていいの?2人っきり?まさかの2人っきり?これってアレですか。もしかして、私の努力が実ってマルフォイが私の事が気になりだしたとかいう奇跡ですか?


緊張やら嬉しさやら戸惑いで進む足が震えるし、手が汗ばんできた。顔も絶対赤くなってる。目線をもう一回マルフォイに向けると、彼は先程と同じく口角を上げて私を見下している。


あの、ちょっとくらい期待しても良いですか?


階段を上り始め、マルフォイとの距離を縮めていく。どうしよう、どうしよう。いっそのこと“好きです!”って言ってしまおうか。いや無理、絶対出来ない。心の中で葛藤しながら、結局恥ずかしさに負けてマルフォイの隣を素通りしようとした。

「おい。」

「は、はいいい!!!」


よ、呼び止められちゃったよ!どうしよう。本気でどうしよう!自分の心臓うるさすぎる。
にしても色々綺麗すぎて目が離せない。約60pの距離に目眩がしそうだ。


「なあ、お前って」


投げかけられた言葉の続きはもしかして「僕の事が好きなのか?」だよね?そうだよね、それしかないよね!答えは勿論決まってます!



「お前ってドMなのか?」

「その通りです!!…は!?」






「やっぱりか。あれだけからかわれても道を変えないなんて変な奴だと思ったんだ。」

「いや、違うから!!さっきの肯定は違う言葉に対しての肯定だから!!!」

「意味がよく分からないが、とりあえずドMなんだろ?」

「耳が悪いんですか?違うって言ってるでしょう?」

「なんなら僕が君専用のドSになってやろうか?」「ドSじゃなくても良いから私専用のマルフォイが欲しいです。」


その言葉を聞いた彼は一瞬驚いた顔をして、お馴染みの勝ち誇った笑みを浮かべた。
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