多くの人が大広間に夕食を食べに行っている頃、こっそり抜け出し目的地に向かう。絶対に他の人にバレるわけにはいかない。私には…遂行しなきゃいけない任務がある。


もう何度この部屋の前まで来ただろう。
いつも、いつも、大事な所で邪魔が入る。


「やっぱり立ちはだかるのね、パンジー!」

「やめときなさいFirst name。」


目的地の部屋の扉に寄りかかり、腕組みをしたまま私を睨み付ける彼女に近付く。…どうして分かってくれないの?


「止めないで!……私の気持ちも分かるでしょ!?」

「そうね、分か……やっぱりダメだわ!行かせない!!」

「そんなにドラコの事が大事?」


杖を向けてくる彼女は迷いもない瞳で「大事よ」と言いはなった。その言葉がチクリ胸に刺さる。私だって、大事よ…!けど、仕方ないじゃない!!


「……パンジー、私ね、恋する乙女の心はみんな同じだと思ってた。」

「……First name」

「けど、パンジーは違うのね!!…好きな人が使ってるものを欲しいって思わないのね…!」

「違うわFirst name!私だって…、けどドラコに怒られるわ…」

「大丈夫よバレなきゃ!さぁ、行くわよパンジー!」

「えぇ!!」






「へぇ…、また懲りずに僕の所有物を盗みに来たのかお前達は」


トーンの低い声が聞こえたと思って後ろを振り返ると、顔が全然笑ってないドラコが居たわけで……


「いや、もう、本当にすみませんでした。純粋な乙女心だったんです。靴で頭をつつかないで下さい切ないから」


土下座しながら謝る女の子2人が見れるのはきっとこのスリザリンぐらいだわ!ね、パンジー!

チラッと彼女の方に顔を向ければ、この世の終わりのような顔をしてました。


「ご、ごめんなさいドラコ…!つい、誘惑負けして…!」

「ああ、部屋番を君に頼んだ僕が馬鹿だった。」

「許してドラコー!私次は阻止してみせるから!」

「そう言って僕は何回約束を破られたか知ってるかい?」

「ゆ、許してあげなさいよドラコ!人間誰にでも失敗はあるわ!!」

「僕は君がこんな変態に産まれたのがそもそもの失敗だと思うが、」



そう言って冷たい目を向けて「今度ばかりは絶交だからな!」なんていうくせに、私達が泣きそうな顔したら溜め息をついて、両手を差し出してくるの。

(そんな優しい貴方だから、私達は大好きなんです。)




090928
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