「ドラコ、パンジーと付き合いだしたって本当?」
「あぁ、いつもしつこいから仕方無くな。」
そう言って、少し頬を赤くする貴方は嘘つき。本当は嬉しいくせにね。
「おめでと、ドラコ」
そして笑顔で笑える私も嘘つき。ずっとドラコが好きだったのに。
「ドラコっ!次の授業一緒に行きましょう。」
「パーキンソンか、少し待ってろ」
「はーいっ」
“First nameも一緒だろ?行かないか?、”そう言って私に向ける笑顔と手を独り占めしたい。そう思うのに心と体は別行動してる。
「私少し気分悪いから後で行く。」
「大丈夫か?医務室まで着いて行こう。」
「大丈夫。しかもドラコが傍に居たらずっと良くならないし。」
冗談っぽく言っただけなのに、ショックを受けてるのか目を大きく見開き私を見つめるドラコ。
けど、本当の話、優しいだけの貴方は私には毒薬と同じなの、知らないでしょ?
未だに目をまん丸にしてるドラコに、笑いながら“嘘だよ”と伝える。するとドラコは眉間に皺を寄せて私のデコを指で弾いた。
「いたたたっ」
「この嘘つきめ」
私の手を取り、パンジーに“先に行っててくれ”と伝えるドラコの行動の意味が分からない。とりあえずパンジーの視線を痛いくらい感じながら引っ張られるままに歩いていく。
どこに行くのかと思えば、本当に私を医務室まで連れていってくれたドラコに、今度は私が目をまん丸にして驚いた。
「具合悪いのも嘘なんだけど…」
「顔色が悪い。なんかあったのか?」
「…寝不足。」
すらすら出る嘘に、貴方は優しい言葉を私に押し付ける。
「じゃあ寝てろ。僕が傍に居てやる」
マダム・ポンフリーは不在なのか、姿が見えないので勝手にベッドを借りた。その直ぐ傍で椅子に腰掛けるドラコを見て胸が痛む。
「ねぇ、ドラコ」
「どうした」
「私、ね」
いっそのこと胸の内をさらけ出して、貴方を困らせてやりたい。
「…ドラコの事が大切だよ」
嘘じゃない。けど、肝心な事は伝えられない。
「ああ、僕もだ」
優しく笑いかけてくれるドラコにすがりついて、泣きついて、想いを伝えられたらどんなに楽だろう。
「これからもずっと…、仲良くしてくれる?」
「勿論だろ。」
たったその一言だけで高鳴る胸よ、どうかこれ以上私を苦しめないで。だけどね、
「おやすみドラコ」
「ああ」
寝てる間は貴方を追いかけさせて
撫でられた頭に思わず涙が零れた
090826