「結局ほとんど私の買い物に付き合わせた感じになっちゃったね。」

私の手元にはたくさんの紙袋がぶら下がっていた。なんでこんなに買っちゃったんだろう。

「別に構わない。俺が誘ったんだ。名前のおかげで、目的の物を買うことが出来たしな。」

蓮ニくんは紙袋を持ち上げて、にこりと微笑んだ。
今日は彼に『買い物についてきて欲しい』と頼まれたのだ。
お姉さんの誕生日が近いから、プレゼントを買いたい。しかし女の子の趣味が分からないから私に意見を聞きたいとのことだった。

行ったショッピングセンターがセール中なのは予定外だった。
○%offの誘惑に惹きつけられあちこちお店に入る私に文句を言わず、蓮ニくんはついてきてくれた。ホントに申し訳ない。


ピリリリ

「あ、ゴメン。」

「「出てもいい?」とお前は言う。全く構わないぞ。」

相変わらずなデータマン蓮ニくんに断って、通話ボタンを押した。

「もしもし?」

『名前、何処行っているんだ?』

「へ?昨日さだくんに、蓮ニくんと買い物行くって言わなかったっけ?」

『あー…、そういえば。』

「さだくん、いろいろ質問するくせに、すぐ忘れるんだから。」

さだくんは昔っから人の話を聞いてない。いつもノートにいろいろ書き込んでるのは、データを取っているのではなく、忘れないようにメモをしているだけなんじゃないかと思っている。

『何時に帰ってくるんだ?』

「…えーっと。」

携帯を耳から外して、時間を確認した。ここから帰るのにはどのくらいかかるだろう。時間を計算していたら、いつの間にか柳くんが私の携帯を持っていた。

「貞治、久しぶりだな。この前連絡したのが、17日と3時間前か。」

『れれれ、蓮ニか!ひ、久しぶり。』

「驚くことはなかろう。邪魔をするために電話を掛けてきた確率95%だからな。」

『…そ、そんなことはない。』

「あ、あと、名前は俺の家で夕食を食べることになっているから、帰るのは遅くなる。ちゃんと送っていくから安心するといい。ではな。」

淡々と話して、柳くんは一方的に切ってしまった。
受話器の向こうで、さだくんが何か叫んでいたような気がする。

「ってか、夕食ご馳走になるなんて、聞いてないよ!」

「あぁ、すまない。さっき母さんから連絡があって、名前を家に連れて来いと言われてな。名前の家にはもう連絡はしてある。」

「なんか私の知らないところで、物事が進んでるよー。」

「よくあることだ。」



夕陽輝く
(オレンジ色に照らされる)




「そういえば、さだくん何の用だったんだろう。」

わざわざ電話をしてきたから何かあったのだろう。でも聞きそびれた。

「気にすることはない。俺と名前が二人で出掛けたから拗ねただけだ。」

「そうなんだ。さすが、よく分かってるねー。」

さだくんと蓮ニくんは親友だからね。幼なじみだから、私も他の人よりは分かっていると思うけど。

「データは嘘をつかない…ってことだ。」

「さだくんの真似?似てるー。」



spilt milkのゆうきみるく様より

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