morpho モルフォを飼っていた。 透明な瓶に入れて。 食草はわからないから、ラベンダーを一枝入れた。 青い鱗のような羽が賢明に動いている。 薄い硝子を隔てたこっちと向こう。 同じ酸素が入っているのに違う世界。 瓶の蓋を開ける。 モルフォは喜ぶように舞い出る。 私は、それを遮るように。 手の中でモルフォが泣き叫ぶ。 痛い痛い。 ごめんね。でも、放してやれない。 私の中にこんな醜い感情があるなんて。 これが、愛だなんて。 青い硝子片がばらばら散ってゆく。 手の中には輝かない鱗粉ばかり。 ← * → |