ラジウム




熱が700度に達した瞬間、熟れた果実はどろりと溶けた。
硝子一枚隔てた向こう側で、女が死んでゆくかのようにだらりとその四肢を垂らす。
マグマは容赦なく、白い肌を焼いた。
そして、悲鳴を上げることもなく、恍惚としたように溶けてゆく。

硝子を取り除いて、空気を入れた。
突然襲った酸素に、体が追いついていないみたいだ。
苦しそうに呼吸をして、僕を恨めしそうに見つめる。

そして、熱が1140度に達する直前、それは暗闇の中で青白い燐光を残して爆ぜた。

それは、あまりに美しい光で、僕の網膜を焼いた。






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