真っ赤な服。
背中は大きく開き、胸元にリボンが飾られ、裾には真っ白でもこもこなファーがあしらわれている。
その下も裾が同じように加工された、際どすぎる短さのミニスカート。
そしてまた同じファーのついた、ショートブーツが足元を華やかにする。
「……い」
「え?」
「死にたい」
簡潔かつ大袈裟な感想に、思わず白蘭は口を出かけた「可愛い」という言葉すら忘れ笑った。
自殺願望を口にした骸はというと、赤いグローブで精一杯スカートの裾を握り少しでも生脚を隠そうと奮闘する。
「あ、骸クン帽子かぶってないじゃん!ほら」
「も、…もういいじゃないですかっ」
「えー、これがないとサンタさんじゃないよー」
白蘭が帽子をかぶせようとすると骸は逃げに逃げ、遂には涙目になりかけてしまったので白蘭は渋々自分でそれをかぶった。
代わりに、と赤いリボンで骸の長い髪を束ねる。
骸はそれすら少し不満そうだったが、鏡に映った自分の姿をみて不満を通り越し絶望にがっくりと項垂れた。
「どうしたの骸クン、似合ってるよ?」
「黙ってください」
それもこれも…、と骸は昨夜の出来事を思い出し歯軋りする。
『飲み比べ、しようよ』
『勝ったほうの言うこと聞くってのはどう?』
酒には強いほうだと自負していたし、条件もかなり魅力的で、一も二もなく受けて立った。
結果。
…奴が恐ろしく酒に強いということが分かっただけの、二時間だった。
「骸クンが僕より強かったらどうしようって思ってたけど、ほんと勝ててよかった♪」
「肝臓癌になってしまえばいい…」
「もう、サンタさんがそんな口きいちゃだめでしょ?」
「っ誰が、」
サンタだ。そう噛み付こうとしたが、手をぐいっと引っ張られ、そちらに意識を取られる。
そのまま骸は白蘭の力に抗えずただ引っ張られていった。
「ちょっと…どこに」
「ベッド」
「はぁ!?」
あまりにも性急すぎる事の進みに、何か言い返そうとしている間にベッドに押し倒されていた。
「サンタさん、僕まだクリスマスプレゼントもらってないんだよね」
「知りませんっ僕には関係ない!」
「んもー、恥ずかしいからっていくらなんでもそんなに嫌がることないじゃんか!」
「離しなさ、んっ!」
顔の両脇に両肘を置かれてしまえばもう逃げ場はない。
いつもの角度で侵入してくる彼の舌をただ受け止め、半ば諦めの気持ちで骸は白蘭に応える。
白蘭は何度も息継ぎを挟み角度を変えてキスを堪能し、漸く骸の唇が解放された頃口づけは10分間を軽く越していた。
「っハァ、……はぁ、」
「ふふ、やらしー顔」
「……ッばか」
唾液のせいでグロスを塗ったかのように潤って光る唇をなぞられ、キスで敏感になっている骸はふるりと震えた。
「んぁ……」
「声もやらしいなぁ…」
最早言い返す気力すら奪われてただ赤い顔に涙目で白蘭を見上げることしかできない骸に、白蘭は安心させるようににっこりと微笑みを向けた。
そして上体を起こし、胡坐をかく。
「小休憩ね」
「……?」
「おいで、骸クン」
白蘭がぽんぽん、と自身の膝を叩くと、骸はおずおずと起きて頬を赤らめたまま目を伏せる。
今更何を恥ずかしがるのか、とすこし白蘭は可笑しく思い、もう一度骸の手を強引に引っ張った。
またも骸は抗えず、向かい合う形で白蘭の胡坐の上に長い脚をひらいて座した。
「白蘭…」
赤いグローブの手をそっと白蘭の肩に置く。黒い服に赤いそれはよく映えた。
「可愛い」
「……もう…」
「骸クン、可愛いよ」
重ねて言われたことにより遂に骸は陥落した。
逃げるようにさらに赤くなった顔を白蘭の肩にうずめる。
「メリークリスマス、僕だけのサンタさん」
クリスマスから一ヶ月たちましたが気にしたら負けです
大変恐れ多くも尊敬するとあるお方の絵から妄想を広げ勝手に書かせていただきました(五体投地)
それにしては駄文すぎて頬が濡れる
あと、すみませんがブラウザバックでお戻りくださいませ