逆様に捧ぐ愛 | ナノ


可哀想な骸






行かないで、とか細い声。
昨夜は散々啼いたもんね、掠れてる。


「バイバイ、次は来週かな」


振り向かないまま別れを告げれば呻くようなすすり泣きが部屋を伝う。


「待って…おねがい、びゃくらん…いかないで」

「じゃあここまで来てごらんよ」


笑いを含んで言う。
骸クンが、腰が痛くて動けないことは百も承知。
試すようなセリフには怖いのかな、気配が怯えている。


「ごめ…なさ、なんでもします、すきです、愛してます、から…」


たまらない。
人を狂わせるほど夢中にさせている。


「何でもするんだったら、此処まで来てご覧って」

「…ぅ、ひっ…ん…痛っ…、!」


振り向くと骸クンは寝台から這い出そうとしていたが、腰の痛みで上手く動けないらしくそのうちベッドからシーツごと落ちてしまった。
白い肌が晒され、ついでに沢山落としたキスマークも晒される。
滑稽な姿に思わず声を立てて笑えば、骸クンは泣き顔で僕を見上げる。


「ちゃんと立ってよ?」


その表情が絶望に染まった。嗚呼、なんて好い色。
それでも健気に諦めず、なんとかベッドヘッドに掴まることで腰を浮かそうとした。
しかし途中でまた痛みが押し寄せたのか、掠れた悲鳴をあげてまた床に座り込んでしまった。


「じゃあね」


いや、いや、白蘭…
追う声を断ち切り扉を閉めた。

オートロックの非情な音が鳴り響く。












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場所はホテルとか
ホテル住まいの白蘭で、でも滅多にその部屋には帰ってこない
骸は呼ばれた日はそこにちゃんといってえっちのお相手する可哀そうなセフレちゃん


実は宙/吊りダン/シングが副題

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