男子高校生
「おはよー骸クン」
という無駄に明るい挨拶とともに感じたのは臀部への気持ち悪さ。
ぞわりと震える背筋に少しの間固まる。
「…さ、触るな馬鹿!」
すぐにはっとして左手を振り上げ、臀部に這った白蘭の手を払い落とそうとする。
男の癖に男の尻を触って何が楽しいのか、理解できないししたくもない。
しかし左手は白蘭の手に当たらず空をきり、え、と思った瞬間。
「……何のつもりだ」
「手、繋ぎたいなーと思って」
にっこり、という音が聞こえそうなほど清々しい笑顔に更に苛立ちが加算される。
白蘭の右手によって塞がれた左手を自由にしようと振り払うと逆に引き寄せられ、バランスを崩し前にのめった上半身の額に軽く口付けられた。
「ほんっと可愛いよね骸クン」
「ほざけ、死ね」
「敬語とれてるよー?」
最早白蘭の手の力は振り払えないほどに強くなっていて、諦めるしかないと悟らせる。
低血圧の頭が頭痛を訴えた。
「このまま学校まで行こうね」
「誤解されても知りませんからね…」
「誤解も何も恋人なら普通でしょ?おてて繋いで登校」
「誰が恋人ですって?」
いつの間にか不本意にも恋人繋ぎになっていたのをいいことに指に力を込めてぎちぎちと締め付ける。
痛い痛いと言いながら嬉しそうな笑顔は貼りついたままで、益々頭痛は酷くなる一方。ああ今すぐ帰りたい。どうせ学校に行ってもこんな調子で遊ばれるのだ。
「もう骸クン、朝からそんな顔してたらろくなことないよ?」
誰のせいだ誰の。
反応するのも面倒臭く、前を向き歩き出せば手のせいで必然的に着いてくる奴が横顔も可愛いね、と頬にキスをした。
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