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「あ、」



食事の途中、白蘭が気づいたように声を発した。



「どうかしました?」

「骸クンの口の横、ケチャップついてるよ」

「え」



骸は少し恥ずかしそうにフォークを置き、ナプキンを手にとった。
そしてごしごしとこする。



「んー、違うそこじゃない」

「こっちですか?」

「もっと左!…あ、骸クンにとっては右」

「紛らわしいです…」



しかし中々ナプキンと汚れが触れ合うことはない。

遂に白蘭が痺れをきらし、向かい合わせに座っていた位置から身を乗り出した。
そして骸の口の横のケチャップを器用に舌先で舐めとる。



「ん、とれたよ」

「…ちょっ、待ちなさい、今何を…?」

「何って?」



骸は白蘭の行動に理解が追いつかなかったらしく、呆然と舌が触れた部分を指で確かめた。



「…」

「骸クン?」



対して白蘭は理解も何もなく、ただぽけっとしてしまった骸を心配そうに見つめるだけだ。



「ケチャップ、しょっぱいね」



骸はその言葉で漸く我に帰ったらしく、頬を見る見る内に赤く染めて持ったままだったナプキンで舐められた所をごしごしこすった。
それでも白蘭は気づかずに、「暑いの?」と今度は水を差し出すのだった。





天然
(魔性とも言う)








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