気持ち悪い白蘭→骸
図書室でうんうんうなっていると、ふとノートに影が落ちた。
狙いはどうやら、先ほど買った飲み物。
「ココアですか」
「うん。飲む?」
ほかほかと湯気を立てる紙コップを手渡せばほんの少しポーカーフェイスが崩れた。
そんな些細なところでも可愛いと思ってしまう僕は既に末期だ。
「あったかい…」
ふぅ、と吐息を吹きかけて軽く冷ましてから口をつける。
あ、
「? どうかしましたか?」
「え、いやなんでもない、けど」
今僕が飲んでいたところに口をつけている。
間接キスだ。
どうしよう。
「甘くて美味しいです」
「そ、う、よかった!マシマロ入ってるんだ」
「ふぅん、中々マシュマロも悪くないですね」
ご馳走様でした、と骸クンは丁寧に告げると元座っていた机に着き、参考書とにらめっこに戻った。
残されたものは若干冷めたココアと紙コップ。
ごくりと唾を飲む。持つ手は震える。骸クンが口をつけた場所は目に焼き付いている。
これは僕がお金を出して買ったものなんだから、どこから飲もうが僕の勝手だ。
無意味な宣言風の言い訳を心の中で叫ぶ。
どきどき、と心拍音が聞こえるほどに五月蠅い。
マシマロを入れた時より、ココアは甘く感じられた。
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きもい