教師リボ×女子高生骸
いつも彼は狡い。
「ねぇセンセイ、抱いてください」
「あーはいはいこれでいいのか?」
「っちょ、違うっ!」
肩と太腿の下に手が置かれ、ふわりと体が宙に浮く。浮遊感に恐怖感。反射的に彼の首に手を回せば、クスクス笑われた。
「何がおかしいんですっ、」
「何だかんだ言っても、まだまだガキだな」
「煩い、早く降ろせ!」
「大人しくしろよ、『お姫様抱っこ』だぞ?」
耳元で低く囁かれ、抵抗のためじたばたと空を蹴っていた脚がだらんと垂れた。
抵抗をやめると、今度は太腿に触れる彼の手を変に意識してしまう。そしてやっと怖さではなく、恥ずかしさで頬が熱を帯びた。
吊り橋効果だとかよく言うが、この気持ちはホンモノ。
「…降ろして、ください…重いでしょう?」
「そうか?軽すぎるくらいだな」
このフェミニストが。
内心だけで毒をつき、それでも舞い上がってしまう本心に少し悔しさがこみ上げる。
いつか余裕を失くすくらい掻き乱してやりたい。それが彼に付きまとう理由だったりする。
この遊ばれている状況を見ると、到底無理なように思えるが。
「しかし細いな…」
「っセクハラです先生!訴えますよ!」
「最初に誘ってきたのはお前だろ?」
意地の悪い笑みを浮かべた薄い唇が近づいてきて、額にひとつキスを落とす。
そして交わった視線の先の彼が絶妙な色気を放っていて、思わず真っ黒なスーツをぎゅっと握った。
何を思ったか、それから彼は溜息をついた。
「…何回も言ってるがな、生徒に手は出さねえ」
「ばれないようにします」
「そういうモンじゃねぇんだよ」
分かってないな、ともう一度溜息。
何が「分かってない」のかも分からず、むっとした。自己完結しないでほしい。
大体貴方は、教師だろう。
「分からないところを分かるようにしてくれるのが、仕事でしょう?」
ぐっと腕に力を込めて今度は僕の方から顔を接近させる。
雑誌で読んだ上目遣いのことを思い出して、上手くできるかは微妙だったが実行して彼を一心に見つめる。
少し、ほんの少しでいいからこの心の内側の気持ちが伝わったなら楽なのに。
「…ほざけ」
ふい、と彼はそっぽを向き、僕を丁寧に降ろした。
そして普段の行動や言葉遣いからは想像も出来ないほど優しく抱きしめて、優しくキスをほどこす。
「ん、…は、………、」
「骸…」
彼のかたい腕に身を委ねるのは気持ちがよくて、大切に扱われるキスと今この瞬間彼を独占しているのが自分だという強烈な優越感に浸り酔う。
胸元のシャツに縋れば抱きしめる力は強くなり、キスも深くなる。
「んんっ…ふ、はっ…はぁ」
「なかなか、上手くなったんじゃねえか?」
「…、貴方が仕込んだくせに…」
「オレ好みってことだ喜べ」
え、と思い顔を見上げたがやはりまだポーカーフェイス。
いつか切羽詰まった顔で言わせてやる、とまた彼と一緒にいるための理由がひとつ増えた。
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理由付けっていうか言い訳をしないとリボ様と一緒にいれない骸とか可愛いと思う
リボ様の口調が掴めない…