兄スペード、弟骸でギャグ
あざとい。
あざとすぎる。
「どうかしましたか、兄さん?」
「い、いえ、なんでも」
骸がソファーに寝っ転がって雑誌を読んでいる。
雑誌は普通のファッション雑誌で、多分お気に入りの制服特集の号のやつだ。
それだけならいい。
それだけなら。
問題は、
「…はぁ、この制服かっこいいです…やっぱり軍隊ですかね…」
骸がショーパンをはいていること。
うつぶせで雑誌を読んでいるため見える脚は裏側で、すらりとした脚のラインが惜しげもなく晒されていて、見た感じではかなり滑らかそうだ。
(………な、撫でまわしたい…)
思わず手がわなわなとふるえ、力をこめるも衝動は収まらない。
さらに問題なのは、
「…あー赤の軍服……目立ちますけどかっこいい…」
シャツがめくれて背中が見えていること。
脚に負けず劣らずで背中もきれいで、くっきりとでた背骨はなぞりたくなる。
あざとい、あざとすぎる…!!!
「ねえ兄さん、この軍服―――」
これは一種の罠なのだろうか。
もしくは孔明の罠なのだろうか。
脚か背中に手を触れた瞬間に通報して、私をこの家から追い出すための罠なのではないだろうか。
理由なんて簡単だ、時代はセクハラ大反対。
「? 兄さん、ねえ、」
しかしあれほどまでに触れたくなるものがこの世にあるだろうか、否、存在するはずがない。
そんな稀有なものなのに、どうしてこの衝動を我慢し、目をそむけることができよう。
…いや、もしかしたら私の考えすぎかもしれないではないか。
ただ骸は暑くてこんな恰好をしているのではないか。
「兄さん?寝てるんですか?」
いやしかし触れて通報されなかったところで骸が怒らないという保証がどこにあろう。
いやいやもしかしたら怒らずに『もう、ちょっとだけですからね…///』なんてなるかもしれないじゃないか。
いやいやいやそれどころか『もっと触って下さいお兄ちゃん…///』なんてことn「デイモオオオオオオオオオン!!!!!!」
「ヌフウウウウウ!?」
いつのまにやら骸の脚と背中は消えて、目の前には骸の顔。
「何ぼーっとしてるんですか、夏バテですか?」
「え!?いいいいや別に」
「……怪しいですねえ…」
「………っ」
「まあいいです、それより見てくださいよこの軍服」
「あ、はい、かっこいいですね」
「ですよね!クフー」
「ヌフー…」
今度は新たな罠が。
シャツはめくれたまま。
それで骸はソファに座ると、脚を組んで私と向かい合って座った。
もう一度言う、シャツはめくれたまま。
それで私の前には骸。
つまり今度見えるのは―――
「それでね、兄さん、今この高校の制服が………ってあれ、鼻血出てますよ!?」
それより、腹チラしてますよ。
[
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…。
最初はスペ兄って呼ばせてたんだけど、よく考えたらスペードって名字じゃん!て気付いて「兄さん」になりました。