Side.Yu Kanda
雨上がりの町も、凛と咲く蓮の花も、湿ったアスファルトの匂いも、太陽の光が反射して光る水溜りも、好きじゃない。綺麗な世界は泥に呑まれた俺を責めるから。
でも、この世界には穢れすら色褪せる純粋を見つけた、初めて俺の為に泣いて微笑んでくれた1人の女を守る為に―……。
ふっと目が覚めて時計に一瞬視線を移すと、彼女が身をよじった。それと同時にもう起きていることを察したが、再び寝ようと試みたその時
「神田?おはよう」
隣で寝そべっていた彼女がすくっと起き上がると怪訝そうな顔で俺を覗き込む。
「起きるの待ってたのにまた寝ようとしたでしょ、うなされてたけど夢でも見たの?」
別に、と一言だけ返しておはようのキスを落とす。
ふふと笑みを零しながらでも神田、私の名前微かに呼んでたのそれで目が覚めたもの。なんて、頭の上から降りかかる嬉しそうな声。
「あー…みたかも、夢、でもリナはでてこなかった」
「え、じゃあどんな夢だっ…「言わねぇけどな」
喰い気味に返事をしたらリナリーが頬を膨らませそっぽを向いて。それと同時に、彼女の細い腕を引き寄せるとベットに押し倒し、その上に跨って深い口付けを重ねた。
「ふっ…は、か…んんっ…だ」
息が上がり、途切れ途切れ艶のある声で名前を呼ばれれば、俺の欲を掻き立てた。優しい手つきで太ももに触れると僅かにピクンと身体は反応して。そこから指先を布地の中へと素早く滑らせた時、覆いかぶさっていた胸元を思い切り押しのけられた。
「ちょ、っと待って!こんな寝起きで…」
「お前がむくれてるしエロい声出すから」
「何の夢みたか教えてくれなかったからじゃない」
こんな小さな言い合いを幸せだと思うのはきっと彼女だけで、壊れ物を触るようにゆっくりとリナリーの頬にかかる髪を払って耳たぶを甘く噛んで、囁く、
「…!普段そんなことゆってくれないのに、ずるい…っ」
「お前が言えって言ったんだろ?じゃ、続き」
吐息が漏れて、甘い音色が響いて、ベッドが軋む。そんな、ある1日の始まりの朝の話。
"リナが泣いてた夢。いつもお前の事しか、考えてねーよ"
あの日、君を
(初めて愛しいと思った)
(もう捕まえて、離さない)
あとがき。
これ裏じゃないよね、セーフだよね…
意外とサラサラ書けて楽しかったです(^-^)
2010.4.24