いろは唄 | ナノ


※大分遅れてくのたまにも委員長シャッフルの命が下ったようです
※ただのお遊びです。本編とは関係ありません






○千茅の場合
●用具委員
「食満せんぱぁい、上手く切れないですぅ」
「ん?ああ、すまん今手が離せんから千茅助けてやってくれ」
「はーい。あ、これはね、持ち方をこうした方が楽に切れるよ」
「こうですかぁ?あ、何か切りやすくなりました!」
「そうそう、上手だね喜三太くん」
「ありがとうございます千茅さぁん」
「終わったか?」
「はい」
「はぁい!」
「んじゃ千茅、そっちで備品棚の修補頼む。喜三太達も千茅の手伝いをするんだぞ」
「分かりました」
「「はーい!」」

「…………」
「ん?どうした作兵衛」
「いえ、その、千茅さん…異常に上手くないですか」
「そりゃああいつん家は本職だからな」
「え!?千茅さんの家って番匠なんですか!?」
「おう、親父さんがな。小さい頃から仕込まれて、小屋くらいなら軽く作っちまうぞあいつ」
「……なんで」
「ん?」
「なんで千茅さん用具じゃないんすかね…?」
「…そういやそうだな」


●図書
「何か」
「ん?」
「千茅さんが図書室にいるの不思議な感じっすね」
「あはは、そうかな?」
「だってぶっちゃけ千茅さんが図書室に来るのって誰かを捜しに来るときくらいじゃないっすか、あんまり本読むイメージないっつーか」
「おいきり丸!!お前なんて失礼なことを!!」
「あっはは、大丈夫だよ久作くん。んー…まぁ確かに此所二年くらいはまともに来てないなぁ」
「どうしてですか?」
「え、だって図書室って暇じゃない?」
「「「………」」」
「此所でじっとしてるとどうしても遊んじゃってねー、雷蔵に叱られちゃうから」
「千茅さんが…すか?」
「うん。私結構叱られるよ?」
「いやそれもですが…遊ぶんですか」
「うん。折紙したり落書きしたり蔵書を頁数順にしてみたり」
「最後のはダメっすね」
「ね。長次先輩にも叱られちゃった」
「……千茅さんって読書苦手だったんですね、心底意外です」
「あー…あのね、多分皆誤解してると思うけど。千茅は此所の蔵書全部読み終えてるから読むものがなくて暇だってことだよ」
「「「えっ、全部!?」」」
「三年の半ばくらいには制覇してたよ。ね?」
「そうだね、でも雷蔵も殆ど制覇したでしょ?」
「えっ、もしかして五年生全員ですか!!?」
「違う違う、蔵書全制覇なんて普通しません。僕だって畑違いの蔵書は手付かずだよ」
「…千茅さん、全部覚えてらっしゃるんですか?」
「あはは、流石に全部は無理だよ。必要そうなとこだけ覚えれば満足だし、九子みたいに一度読んだ本を暇潰しに読む趣味はないから。新書もそんなに頻繁には来ないから、図書室は暇なんだよねぇ」
「つまり必要そうなとこは全部忘れず覚えてると…」
「…あれ?あの、千茅さん」
「ん?」
「九子先輩も大抵此所にいるときは本開かずぼーっとしてらっしゃいますけど…部屋では読まれるんですか?」
「ううん、九子の読書は大抵図書当番のときだよ」
「…?でも本を、」
「あ、そっか。えっとね、九子は一度読んだ本なら脳内で再生して一言一句間違わず読み返せるから本物はいらないんだって」
「「「…………」」」
「…大丈夫、九子は別格だから。そんな絶望的な目で僕を見ないで」


●会計
「流石だな」
「え?」
「五年とはいえ、初めてでまさか此所まで戦力になるとは正直期待していなかったぞ」
「あはは、九子に比べれば大幅な戦力ダウンでしょうけどね」
「いやまぁ無論計算自体は九子の方が早いだろうが…」
「…千茅さん、良く戸惑わずに計算し続けられますね」
「と言うと?」
「いや…これ、読めますか…?」
「演習用縄梯子 十 四〇〇文、修補用木材 九〇〇文、修補用釘… 」
「何でこんなみみずが這った跡より酷いもんが解読できるんですか!!?」
「ぐーぐーふにゃりら」
「ほら左門も不思議がってます!」
「あー…団蔵くんの字?」
「あの九子も最初は戸惑ったぞ」
「九子は最早図形として類型化したのを即座に照合して解読してるって言ってましたね」
「あ、じゃあ予め九子先輩にその類型を教えて貰ってたんですか?」
「いや、私はそんなことしなくても読めるから…」
「「何故」」
「えーと、…内緒ですよ?団蔵くんの字、私の昔の字と似てるんです」
「「…………は?」」
「だから、読めて当たり前なんですよね。懐かしさと恥ずかしさがありますけど」
「……冗談ですよね?」
「ううん、本当だよ」
「今、お手元にある書道家泣かせの美しい草書の躍る紙は千茅さんが筆をお取りになったと記憶していますが」
「ふふ、くのいちが書を嗜まない訳にはいかないからね。すっごく練習した結果だよ」
「…俺がお前と会った時点で中々の達筆だったと記憶しているが」
「書は基礎も基礎ですから、早いうちに直しましたので。恐らく先輩にお会いする頃には今と殆ど変わりなかったかと」
「「………」」
「……いかんな、少し徹夜しすぎたか。幸い早めに片が付きそうだしさっさと身体と脳を休めるぞ田村」
「そうですね潮江先輩。僕らは大分疲れが溜まってるようですから」
「うーん…本当なんだけどなぁ」


●作法
「………藤内」
「はい…」
「私が斜堂先生に書類を提出しに行っている間に何があった」
「…綾部先輩が千茅さんの発言からなにかを閃いたようで制作途中のターコちゃんのところへ出掛けてしまい、なら自分もと作りかけの絡繰が一ヶ所図面通りに出来ないのでアドバイスを貰い始めた兵太夫が千茅さんを独占していたら伝七が拗ね始めて兵太夫に絡み結果的に喧嘩になり、うっかり取扱注意のスイッチに触れて絡繰を作動して…」
「千茅が救い出して一年に怪我はないものの部屋はこの惨状、と」
「はい…」
「しかし一番派手なのを作動させたな…、これだけ滅多刺しになった床はそうそう見れんぞ」
「はい…しかも全部の刃に毒が塗ってあるとのことで、念のために一年には解毒剤をと今保健室に向かわれてます」
「……遅効性の致死毒か、悪趣味だな。とすれば恐らく四代前の委員長の作品といったところか」
「見ただけでどなたの絡繰か分かるんですか…?」
「何故か作法には絡繰好きが集まるらしい、必ず数年に一人はいるんだ。そういう連中は大概作法室か自室に卒業制作と称して絡繰を残していく、大いに偏った趣味嗜好のもと迷惑極まりない意趣を凝らしてな」
「何で解除しないで放置してらしたんですか…」
「絡繰を仕掛ける側が最も嫌うのは何か分かるか?」
「……誰も引っ掛からないことですか?」
「それもあるが、一番は発動することなく解除されることだ。折角の作品が陽の目を見ぬまま消えるのだからな。だからこそ、此処の絡繰は解除が困難もとい死ぬほど面倒臭い」
「…それって危険性を置いてでも長年放置してしまうくらい面倒なものなんですか?」
「所詮卒業製作だからな、発動する絡繰自体は余程でなければ死にはしない程度に抑えられている。だが解除しようとすると本気の殺意が篭った仕掛が無数に発動して邪魔をするんだ。放置が得策だろう?」
「…………」
「藤内?」
「……あの、先程の絡繰何度も発動する形式だったらしいんですけど」
「…見たところもう作動しそうにないが?」
「その、それを見た千茅さんが危ないから解体しちゃおうかって仰ってものの5分で解除されてたんですが…」
「…………」
「……因みに解除の間、妨害の仕掛けは何も発動しませんでしたけど」
「…なるほど、いつか九子が言っていたな」


―『千茅ですか?…絡繰作る技術そのものは高いんですが、作るよりバラしてる方がずっと楽しいって言ってました』

「…解体専門、なんですね」
「相変わらず面白い奴だ…」


●生物
「みーつけた」

「こんにちはお嬢さん、お散歩中かな?」

「今日は暖かいから散歩したくなる気持ちは分かるけど、すっごく心配してたよ?」

「私で良ければお送りしますよお姫様。裏山で捜してる筈だから、少し私とデートしようか」

「よし、じゃあ行こうか。しっかり捕まっててね、落ちて怪我しないように」



「……千茅さん」
「ん?どうしたの三治郎くん」
「…相手はジュンコなのに、どうしてそんなに畏まった話し方なんですか?」
「え?可笑しい?」
「可笑しいというか…まるで無意識に女性を誑かすイケメンのようでした」
「あはは、孫兵くんに聞かれたら怒られそうだなぁ。誑かすなんてとんでもない、女の子を丁重に扱うのは礼儀でしょ?」
「千茅さんってホント男泣かせの男前ですよね」
「えーと…、ありがとう?かな?」
「五年の先輩方が霞みますね!」
「うん、結構言うね三治郎くん?」




○九子の場合
●火薬
「…………」
「…………」
「これ」
「あぁ」
「…………」
「…………」

「……あのぉ、九子ちゃん、兵助くん」
「「何ですか」」
「…二人って、あんまり仲良くないの、かな?」
「「いえ別に」」
「お喋りとか…しないの?」
「…いや、特段必要性を感じませんし」
「仕事に支障もないし」
「確かに、殆ど会話ないのに仕事は息ぴったり…」
「良く意志疎通出来ますね…?」
「「大体言われなくても分かるし」」
「仲が良いといえば良いんでしょうか…」
「ううっ、静かすぎて何か緊張しちゃうよ…」



●学級
「尾浜先輩」
「ん?どしたー庄ちゃん」
「どうして今日の委員会は外なんですか?」
「天気が良いので気持ちは良いですけど…何でまたこんな手間のかかることを?」
「いいじゃんたまには。ピクニックみたいでしょ」
「普通に中庭ですけどね」
「あはは、流石に遠出は面倒だしね」
「随分お手軽なピクニックですね…」
「………」
「そこー、不満そうな顔しなーい」
「…別に外に出ることに関しては不満はない、この日和だしな」
「なら何が不満なんですか?鉢屋先輩」
「………」
「あっはは、拗ねてんだよ」
「「拗ねる?」」
「おい勘勝手をいうな」
「だってそうだろ?」
「違う、私はあやつの我儘でこうなっていることが気に入らないだけだ」
「あやつ、って…外は九子先輩の提案なんですか?」
「んー、九子の提案っていうか俺が気を利かせたというか」
「……?」
「要はさ、少しでも広い場所にして同じ空間にいるっていう緊張感と閉塞感を紛らわそうってこと」
「「あー…」」
「やめろ庄ちゃん彦ちゃん揃って私を見るな」
「あと万一九子が我慢できなくても開けた空間なら庄ちゃん達に被害はないかなって」
「苦無ですか」
「まぁ無いと思うけどね、九子下級生がいるとこじゃ投げないから」
「…嫌なら来なきゃいいだろうにあの女」
「とか言いつつお茶菓子は九子が好きなの買ってきちゃうんだよねー三郎は」
「喧しい黙れ」


●体育
「いっっけどーん!!」
「………」
「あ、のっ…九子せんぱ、いっ…!」
「…何、滝夜叉丸」
「いえっ…随分大人しく、従っていらっしゃるなと…」
「……うん、私じゃ小平太先輩止められないし。余計な労力は使わない」
「大丈夫ですか、結構お疲れのように、見えますが…」
「……結構辛い、けど、一応まだ平気」
「そ、ですか」
「滝夜叉丸こそ、大丈夫?金吾背負って小平太先輩についていくなんて」
「な、にをおっしゃいます!この滝夜叉丸、これしきでへばる柔な鍛え方は、し、ておりませっ…」
「あんまり話さない方がいいと思うけど」
「っでも、少し安心しました」
「?」
「千茅さ、は、平然と七松先輩に、ついてっいかれるので、…九子先輩は私達と同じなのだと、思いまして」
「……千茅は、ああ見えて八より体力あるから。小平太先輩についていけるのは五年で千茅だけだと思う」
「………時折、千茅さんが七松先輩と、同じ血を受け継いでるような錯覚を覚えます…」
「……小平太先輩ほど暴君では無いと思うよ」


●保健
「…………」

「…はぁ。……今度は皆どこの穴かな」

※九子の委員会しょっぱなの仕事=落とし穴から全員救出



20150528



楽しかったです