結局
「おぉ!財前やんか。」
「部長やないすか。どないしたんです?」
「どないしたんもなにも…今日は財前の誕生日やろ?」
「…あ。」
「まさか忘れてるとは思わんかったわ。」
「そんなこと気にしてられへんすわ。」
「まあ大事な時期やもんなぁ…」
俺にとっては部長が覚えとったんが信じられへんわ。
部長は部活もあるし、勉強やってせなあかん。
俺より忙しいはずやのに…
「わざわざありがとうございます。」
「気にせんでええんやで!財前やって四月に俺の誕生日祝ってくれたやん!!!」
それはなまえが言ったから…とは言わんほうがええんやろな。
部長むっちゃ嬉しそうやったし。
「ほなもう行かなあかんので」
「あぁ…せやな。引き止めてすまんかったわ。みょうじと仲良くなっ」
「………言われんでも分かってますわ。」
遠くなった背中に笑みを浮かべて返した。
あ、ちなみになまえは俺の彼女や。
今日は俺の誕生日(忘れとったけど)やから出かける約束しとるんや。
『光ーっ!』
「なまえ、遅刻や。」
『う…ごめん…。』
「…まあ許したる。」
『ほんと?やったー!』
あー…なんやこいつ。
可愛すぎるやろ。
満面の笑みやで?
国宝級やん。
「どこ行くん?」
『あ!あのねー、光が好きな甘味屋さん!予約しておいたー!』
「さすがなまえやな。」
そう言って微笑めばむっちゃ嬉しそうな顔をするなまえ。
ほんまにかわええわー。
『行こ行こ!!』
「おん。」
「なまえやん!!…財前もおったんか!偶然やな!」
『そ、そうですねー…』
「謙也さんなんでおるんスか。」
「え!?そ…そんなん…」
ほんま面倒な人に会うたわ。
何を隠そうこの人はなまえのことが好きで、俺となまえが付き合ってることを知らへんっちゅーかわいそうなやつや。
さらになまえは自覚してるからこそのあのどもりかた。
ほんま報われへんな。
あー。今もちらちらとなまえのほう見とるし。
なまえは顔ひきつっとるし。
なんやねんこれ。
「二人は何しとるん?」
『光と二人で遊びに行くんです!』
「せや。二人で行くんすわ。」
「へ、へー!俺も行ってもええ?」
『忍足先輩も来るんですかー…?』
なまえのいやそうな態度最高や。
謙也さんはなぜか気付いとらんけど。
「な!財前、ええやろ?」
「いやっすわ。」
『光のスッパリ言っちゃうあたり大好き。』
「な…!」
「俺もなまえ好きやでー。」
「ちょ…まさか、」
『「ラブラブカップルすわ。」』
「…おん。じゃあ二人共仲良くな…」
「行こか、なまえ。」
『うん!光!』
なまえはかわええなー。
セリフを揃えてくるあたりもかわええわー。
何が言いたいかって?
結局なまえが可愛すぎるってことやな!