砂場が真っ白に光って見える。置き去りにされたサッカーボールが片隅に転がっている。蝉の声が、ラジオのノイズのようにじりじりと耳の奥に積もっていく。どこか色あせたような垣根の濃い緑に、小さな羽虫が一匹止まっている。突っ立ったままでいることにも飽きて、ブランコに腰かけてみたが、あまりの熱さにすぐに立ち上がった。
 
 ここにこうしていることに、何の意味があるだろう。

 真昼間の公園の真ん中に立ち尽くす。意味。意味? 何か思い出しそうな気がしたが何も思い出せない。サッカーボールをぽん、と蹴りとばす。思いのほか高くまで上がったそれは、そのままふわふわと空中に静止している。よく見ればそれは地球儀だ。意味? 意味なんて必要だろうか。もしも意味なんていうものが必要なら、これが壊れたらきっと地球も滅びるのだ。
 白黒の地球儀が、ぱちん、とはじけた。
 なんだか生きているような気がした。


 

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