風呂で鬼との戦いで疲れた身体を癒やした義勇は、火照りを冷ましながら部屋に向かう。 時刻は既に子の刻を回っており、辺りはしんと静まりかえっていた。 中庭に面した濡れ縁を歩いていると、バサバサという羽ばたきの音が聞こえてくる。 「あはは!もう、寛三郎ってば」 「ミョウジ……?」 聞き慣れた声に義勇は目を細めた。暗がりのせいでよく見えないが、恐らく縁側に座っているのはナマエだろうと思い近づく。 するとナマエの隣には寛三郎、足元には三統彦が立っているのが見えた。 月明かりに照らされ、彼らは楽しそうに談笑している。義勇はその様子を目の当たりにして思わず立ち止まった。 暁に鳴く 陸 ナマエは何やら鼻歌を歌いながら寛三郎の背中を撫でている。 義勇はそのまま通り過ぎることもできず、かと言って楽しげな彼らを邪魔するのも憚られた。 「寛三郎が幸せそうで良かった」 ナマエはそう呟き、慈愛に満ちた表情で寛三郎を見つめる。義勇は離れたところからその様子を静かに眺めていた。 「水柱様に大切にしてもらえて良かったねえ、寛三郎」 「ソウダゾ爺サン。義勇ホド鴉ニ甘イ隊士ハ他ニナマエダケダ」 「三統彦、いくらなんでもそんなことないでしょ!」 「俺ガ言ウンダカラ間違イナイ!」 そう言って胸を張る三統彦を見て、ナマエは声を上げて笑う。 隣でナマエたちのやりとりを聞いている寛三郎も楽しそうに二人の顔を見比べていた。 「三統彦トナマエハ仲ガ良イノゥ」 何の気無しに思ったことを口に出した寛三郎に注目が集まる。 「アンタニ言ワレタクネェ!」 「うんうん。水柱様と寛三郎の仲には勝てないって」 途端にナマエと三統彦が口を揃えて言うものだから、今度は寛三郎が声を上げて笑う番だった。 義勇はその様子を見守りながら、更に出て行きにくくなってしまったと後悔する。自分のことが話題に出ているので、今彼らの後ろを通るのは気恥ずかしかった。 しかし月明かりに照らされた濡れ縁でナマエと二羽の鴉が戯れている姿は、不思議と絵になる光景だと義勇は考える。 辺りを包む夜の帷と、黒く艶のある鴉の羽根。その真ん中に佇むナマエと彼らに注ぐ白い月明かり。これがもし一枚の絵画だったなら、幻想的な作品だと感じただろう。 思わず見入ってしまった義勇だったが、遂に縁側に飛び乗ってきた三統彦に見つかってしまった。 「義勇!丁度オマエサンノ話ヲシテタトコダゾ」 一気に視線が集まった義勇は、居心地が悪くなって頬を掻く。 「……知ってる」 「水柱様すみません、寛三郎をお探しでしたか?」 慌てて居直ろうとするナマエを片手で制し、義勇は彼らの元へ歩み寄った。 「そのままで良い。足を痛めているだろう。俺は風呂の帰りだ」 義勇がナマエの隣までやってくると、寛三郎は当たり前の如く彼の肩に飛び乗る。 「邪魔をしたな」 「そんなことは!私こそ通り道を塞いでしまって申し訳ありません」 「マァ、義勇モ座ルト良イゾ。今宵ハ月ガ綺麗ジャ」 義勇の肩に止まった寛三郎がのんびりとした口調で言うので、彼は少し迷ったもののナマエの隣に腰を下ろした。 見上げた月は真ん丸で、寛三郎の言う通り神秘的な美しさを放っている。 「今日は色々とありがとうございました。水柱様だけならご自宅に帰れたところを……」 義勇が申し訳なさそうに頭を下げるナマエに視線を向けると、踏み石に乗せられている彼女の足首が目に入った。 「別に構わない。ミョウジには世話になったしな」 「寛三郎の面倒はお館様からも頼まれたことです。私は鎹鴉のことぐらいしかお役に立てないですし」 現に今夜の戦闘では足を引っ張ってしまったと項垂れるナマエ。 いくら鎹鴉の訓練士と言えど、鬼殺隊士ならば鬼を殺し人を守るのが一番の責務だとナマエは常日頃から思っている。 「私ももっと強くならないといけませんね」 「俺には鴉の世話はできない」 義勇は再び月を見上げ、肩にかかる重みを感じながら告げた。 「だからミョウジはすごいと思う」 口下手な義勇にはこれが精一杯の慰めであった。 「……ありがとうございます」 ナマエは膝に乗ってきた三統彦に腕を回して、義勇と同じように白い月を見上げる。 寛三郎より一回り大きい三統彦の頭に顎を乗せ、温かい身体を抱き締めた。 義勇はこれ以上どう慰めたらいいのかと思案したが上手い言葉が思いつかないでいる。 あまり他人の機嫌をどうこうしようなどと考えたことが無く、しかも相手は女なので更に分からなかった。 兎に角、明るくなるような話題は無いかと頭を捻る。 「絵みたいだと思った」 「……絵?」 唐突にそう言われ、ナマエは義勇を見て首を傾げた。 義勇は余計なことを口走ってしまったかもしれないと思ったものの、続きを促すようなナマエの視線が突き刺さる。 「ミョウジと寛三郎と三統彦。月がここだけ照らしていて、幻想的に見えた」 彼の言葉を反芻するようにしばらく無言のままのナマエを見て、義勇はやはり言わなければ良かったと後悔した。 これではまるで気障な男では無いか。慰めるつもりが気味悪がられてしまう、と。 しかしその思いに反して、ナマエははにかんだ笑顔を浮かべている。 「私、いつも黒ずくめで不気味だと思いませんか?」 確かにナマエの服装はいつも全身黒ずくめだった。風呂を浴びた後の今も、浴衣の上に黒い羽織を着ている。 「水柱様が仰ったみたいには、良く言われたことがなくて」 ナマエが黒を好むのは、その方が鴉たちと心を通わせやすいと考えたのが始まりだった。 今ではすっかりナマエの特徴になった羽織も、初めのうちは隊服も黒いのに何故あえて黒を選んだのかと言われたものだ。 「表立って言う人はいないですけど、大きな鴉みたいって気味悪がる人もいるんです」 「そうなのか?」 「鎹鴉をたくさん連れていることもありますからね、気持ちは分かるんですけど……」 特に新人の隊士たちから向けられる視線には、少なからず恐れや嫌悪感が含まれていることがあった。 鎹鴉は鬼殺隊士に必要不可欠なものであり、更には本部からの支給品なので面と向かってそれを口にする者はいなかったが。 ナマエはそんな事情をぽつりぽつりと話し、義勇は黙って耳を傾けた。 「こんな話しても楽しくないですね。すみません、せっかく話を聞いてくださったのに」 「俺は構わないし、そんな風には思ってない」 実際に義勇はナマエを気味が悪いなど思ったことがないので首を横に振る。 とは言え鬼殺隊に入るのには厳しい関門があるものの、隊士たちの性格には大きな差があるのは重々承知していた。 「見慣れないものや自分の価値観に無いものを恐れたり、嫌悪を丸出しにする者も少なからずいるだろう。 藤襲山を生き残った者だからと言って、全員が鬼殺隊士としてやっていける程出来た人間だとも言えないしな」 白い月はだいぶ西に傾いている。そう言えばあの日の夜空に浮かんでいたのはどんな月だったろうかと、義勇は危うく遠く苦い記憶を引き摺しそうになり顔を顰めた。 ナマエはそんな義勇が不慣れながらも自分を励ますために言葉を紡いでくれているだろうことを感じとり、ゆっくりと頭を下げる。 「ありがとうございます。こんな弱音を吐かなくても良いように、もっと自信を持つためにも剣技を磨きますね」 「ああ、そうするといい」 「せっかく舞い風のようだと言っていただきましたから」 悪戯っぽく笑ってみせたナマエに義勇は少し面食らった。 自分が何の気無しに言った言葉をナマエが持ち出した事自体が意外だったし、何よりナマエが嬉しそうに見えたのだ。 確かに悪い意味で言ったわけでは無いのだが、目に見えて喜ばれるとむず痒い気持ちになる。そんな義勇の様子に気が付いたナマエは、急に気恥ずかしくなって頭を掻いた。 「すみません、今まで剣技を褒められたことなんて無かったので舞い上がってしまいました……」 その言葉尻はほとんど聞こえないくらい小さい。 義勇は感情が顔に出ないので、ナマエからすれば彼が呆れているのかただ驚いているだけなのかすら分からなかった。 義勇は咳払いを一つして、ナマエに視線を向ける。 「別に煽てた訳でも世辞を言った訳でもない。風の呼吸の剣士は不死川くらいしかよく知らないから、あいつと比べてミョウジは穏やかだが鋭い風のようだと思っただけだ」 「風柱様と比べられるなんて畏れ多すぎます……」 ナマエはますます縮こまってしまう。 義勇としてはナマエが嬉しく思ったならそれで良いし、驚いた顔をしてしまったのはナマエの反応に対してだった。 しかしそれを上手く表現することができず、言い方を間違えたと思いつつも補完できるような言葉も持ち合わせていない。 そんな義勇の気を知ってか知らずか、ナマエは包帯の巻かれた足首に視線を落として話し始める。 「実は、風柱様とは師匠同士が同門なんです。だから風柱様の話は時々師匠から聞いていて」 不死川実弥の師匠はとても有能な育手で、柱の候補を何人か育ててきたらしいとナマエは自分の師匠から聞いていた。 自分にそこまでの実力が無く鬼殺隊士の中では中ぐらいの位置にいるナマエは申し訳ない気持ちでいたが、師匠はそんなナマエにいつも優しかった。 「元の流派が同じなので、私も風柱様のように名を上げて師匠に喜んでもらいたいと思っていた時期もありました。 でも、実際に風柱様の剣技を目の当たりにしたらそんな風に思うことすら烏滸がましいと思ってしまうくらい強くて」 言葉も出ませんでした、とナマエは笑う。しかしそれは決して自虐的な笑いでは無かった。 「追いつけなくて悔しいとか、そんな気持ちにすらなりませんでしたよ」 「それで腐らずにいられるミョウジは強いな」 圧倒的な力の差を見せつけられたとき、人の反応はその壁を越えようと奮起するか心が折れるかの大抵どちらかだ。 義勇は立場上そんな眼差しを向けられることが多かったから、同じ柱である実弥も自分と似たものだろうと考えた。 「確かに風柱様のように強くなりたいとは思います。でもそれとは別に、自分に与えられた使命に誇りを持って全うしようって思えるようになったんです。鎹鴉を任されるようになった、あの日から」 ナマエは今でもその日のことを鮮やかに思い出すことができる。 鬼殺隊士を志した日以上に、産屋敷耀哉から訓練士の任を賜った日、ナマエの人生は大きく変わったのだ。 「今はこの訓練士の任が私の誇りなんです。と言ってもやっぱり鬼殺隊士なら剣技の鍛錬も頑張らないとと思っていたので……だからとても嬉しかったんです」 膝の上でいつの間にか眠ってしまった三統彦を撫でるナマエの声は明るかった。 義勇には誇りを胸に抱くナマエはとても眩しく見える。そして彼女の姿に、懐かしい『友』とどこか似通ったものを感じるのだった。 「誇り、か。俺には無いものだな」 義勇もまた、うつらうつらと舟を漕いでいる寛三郎を腕に抱く。 彼がぼそりと呟いた一言はナマエを驚かせた。水柱にまで上り詰めた隊士に誇りが無い訳がない。ナマエはそう考え、義勇を見上げる。 「どうしてそんな事を……」 悲痛な面持ちで見つめられ、義勇はナマエと目を合わせようとせずに顔を背けた。 「ミョウジのような信念も誇りも俺は持ってない。お前とは違うんだ」 素っ気なく言ってのけた義勇だったが、ナマエには何故義勇がそんな事を言うのか分かるわけもなかった。 それだけ自己否定をする義勇が、寛三郎のような年老いた鎹鴉を大切にし、怪我をした自分をここまでおぶってきた男とは思えないと困惑すら覚える。 ナマエは無意識の内に拳を握りしめていた。義勇自身が否定しても彼に助けられたナマエはそれを否定したくないと、そう思ったからだ。 「水柱様は気高くて、果敢に鬼に立ち向かっていく誇り高い剣士じゃないですか……!」 「買い被りすぎだ。俺はそんな人間じゃない」 「なんでそんなに……っ」 冷たく言い放つ義勇にナマエが声を上げた瞬間、驚いた寛三郎が寝ぼけて翼をはためかせた。 「ナンジャ、伝令カノ!?」 バサバサという羽の音が響く。抜け落ちた黒い羽根が一枚、夜風に舞い上がった。 「……俺のことで怒らなくていい」 義勇がそっとナマエの肩に手を伸ばす。 そこに落ちていた寛三郎の羽根を拾い上げ、義勇はそう呟いた。 すぐに、寛三郎は再び寝入ったようだ。 「何故……なんて、聞いたらいけませんよね」 まだ拳を握り締めたまま、それでも少し落ち着いたナマエが問う。 彼がここまで頑なになるのには何か理由があるはずだと思いながらも、きっと答えはもらえないだろうとも思っていた。 立場も考え方も違う義勇の心の中にこれ以上踏み込んではいけないと、ナマエの勘が警鐘を鳴らしている。 対する義勇は、ナマエの言葉をはっきりと肯定するつもりだった。 元より自分の心の内を他人に晒すような男では無い。 しかしナマエの肩から手を引こうとした時、つい彼女と視線を合わせてしまった。 するとナマエの瞳があまりに悲痛な色を湛えていたので、義勇は思わず手を止めてしまう 。彼はそれを深い湖の底から水面に向かって救いを求めるような、悲しく寂しい目だと思った。 ともすれば吸い込まれてしまうのでは無いかと思うくらい、義勇はナマエから視線を逸らすことができないでいる。 何故、自分のためにナマエが悲しむ必要があるのかと困惑した。 ナマエは決して泣いていたわけではない。 しかし義勇には、まるでそこに涙の筋があるように見えた。 確かに無いはずなのに、無性にその雫を拭ってやらねばと無意識の内に指先が伸びる。 「水柱、さま……?」 あわや頬に触れるという刹那、ナマエが絞り出すように紡いだ声で義勇は我に返った。 彼の手から黒い羽根がはらりと落ちる。 伸ばしかけた指先は数秒の間虚空を彷徨い、引っ込めると同時に義勇は視線を逸らした。 おずおずと様子を伺われている気配にバツの悪さを覚え、義勇は短い溜息を吐くと共に呟く。 「その呼ばれ方は好きじゃない」 「え……?」 「俺は、水柱なんかじゃない」 唐突な義勇の物言いが理解できず、ナマエはただじっと義勇の横顔を見つめるしか出来ずにいた。 先程の話しぶりから言い、何故義勇がそこまで自分を卑下し、与えられた名誉ある称号を否定するのかナマエには全く分からなかった。 「お前もあの選別にいたなら知っているだろ」 吐き捨てるように告げられたのは、ナマエと義勇が同じ時に受けた、鬼殺隊入隊のための試練のことだ。 「俺は鬼を殺していないし、戦ってすらいない。ただあの山から生きて帰っただけの人間だ。本当は鬼殺隊士でいる資格すら無い」 ナマエは絶句した。義勇が今までそんな想いを抱えて生きてきたのだと初めて知ったからだ。 藤襲山の試練は七日間生き残ることだけが合格の条件で、鬼を何体殺さなければいけないという決まりは無い。 だから正しくあの山から生きて帰った義勇は合格者だし、鬼殺隊に入隊する資格を持っているはずだった。 それなのに、義勇は自分を否定する。 子供など非力なもので、鬼の頸を切れる者は少ないはずだ。 そもそもあの山で七日の間生き残れる者の方が圧倒的に少ないと言うのに。 ナマエは悲痛な面持ちで、開いた手のひらに視線を落とす。自分の爪が刺さって、親指の付け根には赤い痕が刻まれていた。 「あの時……」 黙り込んでしまった義勇の代わりにナマエが口を開く。 「私は藤襲山の試練で、戦いはしたものの鬼の頸を切ることが出来ませんでした」 聞きながら、義勇はゆっくり目を閉じる。 「それでも生き残ることができたのは運でも実力でもなくて……」 ナマエは三統彦を抱く腕に力を込めた。すやすやと眠っている三統彦はずっしりと重い。 「一人の男の子が私を助けてくれたからなんです」 義勇の瞼の裏側に駆け抜ける一人の少年が映り、彼はハッと目を開いた。 「それは……宍色の髪をして、狐の面をつけた少年だな?」 義勇の問いにナマエが静かに頷く。少しの間静寂の時が流れたが、やがて顔を上げたナマエが義勇の羽織を見る。 片身替りの羽織の右半分は赤錆色で、もう半分は亀甲柄だった。 常磐色や藤黄の糸で織りなされたその亀甲柄こそ、ナマエにとって印象深いものである。 「『彼も』元水柱様の門下生だったと、後から他の同期に聞きました」 あの時は自分が生き残ることに必死で、自分を助けた後またどこかへ行ってしまった少年の行方まで気にすることができなかった。 ナマエはそう回想し、夜空を見上げる。 あの夜一閃で鬼の頸を切った亀甲柄の着物の少年とは、試練を終えた後に会うことは叶わなかった。 「あの試練で鬼を殺せず、助けられて生き残った私は鬼殺隊士ではないのでしょうか」 義勇はかぶりを振って、ナマエの腕の中の三統彦を見る。 「そんなことはない。ミョウジには鬼殺隊の中で、お前にしかできない役目があるだろう」 「なら同じですよ。水柱様……、冨岡様にだって、誰にだって代わりなんていない」 鬼によって命が簡単に散らされてしまう世だからこそ、一人一人の存在は尊く大切なものだとナマエは考えていた。 子供の頃自らもすんでの所で鬼の魔の手から救われた経験があり、鬼殺隊士を志した過去がある。 だからこそナマエは、残った者として誇りを胸に生き続けなければいけないと言いたかった。しかし、どうしても言えなかったのだ。 義勇は口を真一文字に結び、眉間には深い皺が刻まれている。 ナマエの方が辛く悲しい気持ちになる程、義勇は何か大きな苦しみを堪えているように見えた。 「どうしてそんな……」 自分を卑下するのですか、とナマエは続けられずに口籠る。 口を開いた途端に義勇が立ち上がり、ナマエに背中を向けたからだった。 「怪我を夜風で冷やすのは良くない」 義勇はそう言って振り返らずに歩き去る。 ナマエは呼び止めることも出来ず、風に翻る赤錆と亀甲柄を無言のまま見送った。 まだ温かさの残る濡れ縁を、相も変わらず白い月明かりが照らしている。 義勇が座っていた場所には、黒い羽根が一枚残されたままだった。 [back] |