9-3


 幸いなことにエッジの地図は頭に入っていたので、車で出来る限り近づいたあとは街の中心地ある記念碑まで最短の道を通れたと思う。それでも私達が辿り着いた頃には、空高く舞い上がった巨大なモンスターがおぞましい咆哮を響かせているところだった。

「あのモンスターは!?」
「分からない。バハムートに似ているようだが」

 私達とは逆方向に逃げ惑う人々の間を縫いながら、私は空を見上げた。ヴィンセントさんも一度立ち止まると私と同じように上を向き、そう答える。バハムートというのは召喚マテリアで呼び出すことができる龍のことだ。ただでさえ貴重な召喚マテリアの中でも一、二位を争う珍しい代物で、その強さも並みの召喚獣とは比べ物にならい。

「バハムートって召喚獣ですよねぇ? やっぱアイツらが呼んだんスかね」

 数時間前まで虫の息だったとは思えないくらい元気を取り戻したイリーナが首を傾げた。ヴィンセントさんが回復魔法をかけてくれたお陰だろう。
 ツォンさんは辺りを見回して術者を探している様子だった。カダージュ達の仕業となればルーファウスが『記念碑 十三階』の暗号を送ってきたその場所が怪しい。私はツォンさんに視線を送ってから、建設中のビルの方角を指差す。基礎部分の鉄骨が組まれ床の部分までは建設が終わっているそのビルは、ゆくゆくミッドガルの百貨店に入っていたような店を集めた一大商業施設になる予定だった。

 その時遠くからプロペラ音が聞こえてきた。ヘリの物よりも大きくて、低い。それから少し遅れて物凄い風が巻き起こった。辺りを影が覆い慌てて後方を見上げると、私たちの頭上に大きな飛行物体が現れたのだ。まるで神羅が所持していたーークラウド達に盗まれたけれど、恐らくヴィンセントさんも乗ったはずーー高速飛空艇ハイウィンド号に似た、しかし所々が違う機体だった。

「なに、あのかっこいい機体……」
「仲間だ」

 思わず天を仰いで呟いた私に向けてそれだけ言うと、ヴィンセントさんは記念碑に向かって歩き出した。敢えてなのか分からないが、走りはしないらしい。

「ナマエ・ミョウジ。電話の使い方の件、よろしく頼む」

 赤いマントを翻して振り向いた彼は、至極真面目な顔をしていた。もしかしたら付き合いの長い仲間に聞くのは恥ずかしいのかもしれない。最初から使えましたという顔をしてクラウド達の元に混ざるヴィンセントさんの姿を想像したら、つい気持ちが緩みそうになった。

「早く買ってきてくださいね」

 強い風にマントと長い髪を靡かせたヴィンセントさんの背中に私が声をかけると、彼はもう振り向かずにガントレットを嵌めた片手を挙げるだけで応えた。

「キザな人っすねー。恩人なんですけど」

 ヴィンセントさんの姿を見送りながらイリーナが呟く。するとツォンさんは複雑な表情を浮かべて首を横に振った。

「ある意味で我々が敵わない相手だ。そんなことより、社長はやはりあのビルにいるようだな」

 私とイリーナはツォンさんが顎で示した先に視線を移す。遠くて明確には確認できないけれど、確かにビルの中程のフロアには人影が見えた。その一つ、小さく見える影は車椅子に座ったルーファウスなのだろう。

「ツォンさん、私にできることは有りますか?」

 なんとか早く彼をあの場から救い出したいと思うけれど、きっとタークスの二人に任せた方が上手くいくに違いない。何せ彼らはプロ。それでも何か役に立てればと、私はツォンさんへ向き直った。彼は顎に指を当てて作戦を練っているようだ。

「車椅子は大袈裟だとはいえ、あのお身体だ。一瞬の隙を突くには……あの方なら飛び降りるくらいするだろう」
「飛び降りるって、あの高さですよっ!?」

 私が驚きの声を上げるより早くイリーナが両手を大きく広げてツォンさんの前に歩み出る。ツォンさんは慣れているのか、やれやれと額に手を当てながらイリーナをあしらった。

「声が大きい。奴らは人間ではないんだから気を付けろ」
「す、すみませんツォンさん……ってあー! 見てください!」

 項垂れたかと思えばまた大声を出したイリーナは、記念碑の上空で咆哮し続けるモンスターを指さした。それは今まさに、大きなエネルギーの塊を吐き出しているところだった。

「主任、あんなの撃たれたら広場どころじゃないですよね!?」
「ああ、街が吹っ飛ぶ」
「なんとかしないと!」

 今にも駆け出しそうなイリーナをこの場に留めておけるのだからツォンさんは流石だと思う。私も私で早くルーファウスの元に行きたいけれど、彼の為を思えばツォンさんの指示に従うのが一番なのだ。

「よく見ろイリーナ。我々が向かうべきはあそこではない」

 イリーナと一緒に、私もツォンさんの言葉に釣られて空を見る。するとあの巨大なモンスターの元へ一直線に向かっていく一筋の光が見えた。

「あれは……?」
「ナマエ、行くぞ。イリーナも」

 膨れ上がった青いエネルギー体に正面から挑もうとしている『何か』が翳しているのは紛れもなく大きな剣だ。あの剣には見覚えがある。ヒーリンのロッジで僅かとはいえ私の目の前にあったから、忘れるわけがない。しかしツォンさんはその対峙の結末には目もくれず、カダージュとルーファウスが居るビルに向かって走り出した。

「ツォンさん! やっぱりあのビル突入するんですかぁ!?」
「いいからついてこい!」

 風になびく黒髪を追いかけるイリーナと、その後ろになんとか食らいつく私。既に人々が避難し終えた通りを駆け抜ける三人組は、側から見たら異様に見えるかもしれない。
 真っ直ぐビルに向かうかと思ったけれどツォンさんは広場の一角で減速した。そこはボランティア達の休憩所で、私もよく出入りしているプレハブの小屋だ。足の長さも体力も桁違いなので、私が追いついた頃には彼は既に小屋の中に入っていた。

「主任ー、社長のとこ行かないんですか?」
「ああ、これだ」

 外の様子を伺いながら、避難してきた人達の怪我の手当てをしているボランティア達。彼らは部屋の一角にある大きな箱の中をがさがさと漁るツォンさんと、その後ろで困惑するイリーナを見て固まっている。そんな事にもお構いなしのツォンさんは、箱の中から拳銃を二つ取り出すと一丁をイリーナに渡して立ち上がった。その銃は量産型のよくあるタイプで、自警団レベルの市民にも広く出回っているものだ。

「すまないがコレは借りていく。どうせ元々神羅が作ったものだからな」
「え? あ、でもそれは……」

 ツォンさんに話しかけられたボランティアの一人は慌てた様子で彼に手を伸ばす。しかしツォンさんはニヤリと口角をあげて、唇に人差し指を当てただけだった。

「だからこそ借りる」

 そういうと彼はズカズカと部屋から出て行く。私の滞在時間、僅か二分ほど。でも今は一秒を争うので詳しい説明を求めている場合ではない。それにツォンさんならきっと今この状況における最善策を考えてくれているだろう。ルーファウスが全幅の信頼を寄せている人だからこそ、私も無条件にツォンさんのことを信じていた。

 もう少しでビルの下に着く、という時だった。背後から轟音がして思わず走りながら振り返ると、なんとあの巨大なモンスターがもがきながら地に落ちてきたところだった。という事は彼らが打ち勝ったのだ。
 街は守られた。私がずっと許しきれなかった、クラウド達に。

 それでも今は喜びや罪悪感に浸っている場合ではないから、私達は走り続ける。遂にルーファウスの表情までが目視できるようになった時、彼はおもむろに車椅子から立ち上がった。

「主任っ!」
「イリーナ、そこで構えろ!」

 ツォンさんはイリーナにそう指示すると更に先目掛けて走っていく。私はイリーナから少し離れたところで立ち止まり、遥か上を仰ぎ見た。
 ルーファウスが纏っていたはずの白い布が風に舞う。その風に彼の金糸が靡くのが見えたかと思ったら、ルーファウスは何やら黒い箱のようなものを下に向かって放り投げた。続いてカダージュの叫び声と共に爆発音が響き渡る。思わず立ちすくんでしまった私は、それでも目だけはルーファウスに釘付けだった。

 白い服を身に纏ったルーファウスの姿がゆっくりと宙に舞う。本当はきっと一瞬の出来事だったのだろうけれど、私にはそれがコマ送りにでもなっているように見えた。

「ルーファウスっ!!」

 思わず駆け出そうとした私は、イリーナに止められてしまった。

「ナマエさん、私たちを信じて」

 反射的に立ち止まった私に対して、イリーナはウインクで応えた。ああ、彼らならやってくれる。私の直感が、そう結論付けた。

 そして何より、この状況でルーファウスは笑っていたのだ。しかも彼はあの新しいハンドガンを取り出して、先に飛び降りたカダージュに向けて弾丸を放っていく。けれど正直言ってルーファウスにしては的に当たらないな、と思った。いくらろくに訓練もできない状態だからと言っても彼の腕前は今だって錆び付いていないはずなのだから。

 そうこうしている内にもルーファウスは地面に近づいていく。やっぱり駄目だと思って私が思わず目を瞑った瞬間、パシュッという空気音がした後に布が叩きつけられるような大きな音が響いた。

「社長〜〜〜〜〜〜!!」

 そして間髪入れず聞こえてきたレノとルードの声と慌ただしい足音が近づいてきて、私の横を駆け抜けていく。自分の心音が煩い。何があったか確かめるのが恐ろしくて、私はその場に立ち尽くしていた。
 どうしよう、まさかやっぱりーーとしばらく目を開けられないでいる私の肩に、暖かいものが触れる。

「大丈夫だよナマエさん。ほら、目開けてあげないと拗ねちゃいますよ」

 笑みを含んだ優しいイリーナの声に導かれてようやく思い切って瞼を上げると、そこには悠然と立つルーファウスの姿があった。額に巻いていた包帯が外れていて、こめかみが少し黒ずんでいる。それでも真っ直ぐに私を見据えた彼の青い瞳には酷く安心させられてしまう。

「ルーファウス……」

 ルーファウスはまず私を見て少しだけ口角を上げた。でもそれは一瞬のことで、真面目な顔つきに戻ると集まったタークスの皆に向かって無言で頷いた。それだけで通じ合ってしまうのが、彼らの持つ絆の強さなのだ。そして私もまた、ほんの一瞬の目配せと微笑みで彼の言いたいことが分かるくらいの絆になっていたことが堪らなく嬉しかった。
 ーー帰ったぞ。
 彼は確かに、そう告げていたから。

「でもどうして……」
「あれ、見覚えあるでしょ?」

 イリーナが指差す先には地に落ちたネットと、それを辿った先にある拳銃が見えた。それは確かに見覚えがある。というより、作り覚えがあった。

「リーブさんに納品した捕縛銃!」
「もしかして気づいてなかったんですか? 私達が普通の拳銃携帯してないわけ無いじゃないっすかぁ」

 からからと笑うイリーナの横で、私は地面に転がる拳銃ーーの形をしたネット発射装置を眺めている。治安を維持するにあたって武力以外の手段を模索しているWROの為に作ったそれは、自警団の機能も兼ね備えたボランティアに配布されていたのだろう。
 まさかその道具が、ルーファウスを救うことになるとは夢にも思っていなかったけれど。

「お手柄ですね、ナマエさん。あ、思いついた主任と命中させた私もですけど!」
「ありがとうイリーナ!」

 私の背中をばしばしと叩きながら笑うイリーナに釣られて、ようやく私も緊張の糸が解けた。

 ーーこれからは救うんですよ。
 そう言って微笑んだリーブさんの声が聞こえてきたような気がした。

「レノ。ヘリの用意、頼めるか」

 低い声がして我に返ると、ルードさんがレノに声をかけているのが見える。イリーナは乗ってきた車を取りに走っていき、ツォンさんはルーファウスと話していた。
 カダージュと他二人の思念体は別々の方角に向けてバイクで去っていったらしい。カダージュの方はクラウドが追いかけたので、残りをタークスが追跡するということだ。

「ん? 良いけどお前は行かねーの? 相棒」

 不思議そうにルードさんを見上げるレノに向かって、彼は首を横に振る。

「準備がある」
「わぁったよ。でも遅れんなよな、と」

 この二人もまた長い付き合いのお陰か言葉がこんなに足りなくたって通じ合っている。
 短い言葉を交わしただけで、レノもイリーナの後を追いかけて行った。一緒の車でヘリを取りにいくのだろう。そこまで考えて、私は慌てて声を上げた。

「あ! レノ!」

 たたらを踏んだレノが振り返って眉を顰める。出鼻を挫いたようで申し訳ないと思いつつ、私はポケットに手を入れるとレノに向けて中身を投げた。レノは恐らくほぼ無意識に手を出し、無事にそれを受け取ってくれた。

「それ、車の鍵! イリーナってば今頃慌ててるかも!」
「……はぁ? げっマジかよあいつホントそそっかしいな!」

 一瞬きょとんとしたあと、そう言いながらレノは大笑いしながら走って行った。ルーファウスが戻ってきたことで彼らタークス達も少し前までと比べて格段に溌剌としている。やっぱり彼は、みんなの旗印なのだ。

「すまんナマエ」

 いつの間にか後ろに立っていたルードさんに呼ばれ、驚いた私の肩が跳ねる。振り向くと、申し訳なさそうなルードさんがサングラスのブリッジを指で押上げていた。

「作り方を教えて欲しいものがある」

 あまりに突然の物言いに私が辛うじて「何のですか?」と返すと、ルードさんはまるで悪戯を企む子供みたいにニヤリと笑ってみせた。

「ルード。お前は俺達に感動の再会もさせてくれないのか?」

 そこに割って入ってきたのはルーファウスの声だった。いつの間にかツォンさんはいなくなっていて、ルーファウスはゆっくりと私達の元に歩み寄ってくる。背後にはきちんと車椅子が置かれているから、ツォンさんの手際には畏怖の念すら起こる。

「フッ、冗談だ。そういうのは二人きりの時に取っておく」
「社長……すまない」

 ルードさんが軽く頭を下げると、ルーファウスは両手を広げて鼻で笑った。

「それともお前は俺がナマエを熱く抱擁するシーンを見たいのか?」
「……是非、特等席で」

 ルードさんはしばらく黙ったあと、僅かに弾んだ声で答えた。あまりの恥ずかしさに私は顔の温度が一気に上昇してくるのが分かって、思わず下を向いた。


「本当にこれで良いんですか?」

 ルードさんが作りたかったもの。それは小型の時限式爆弾だった。
 しかしジュノンならまだしもエッジでそう簡単に本格的な爆弾の材料か集まるわけもなく、寄せ集めの素材でしか作ったそれはとてもカダージュのような存在を消し飛ばすような威力を持つものではなかった。
 
「ああ。何より、アイツが好きそうだ」

 それでもルードさんは楽しそうな笑みを浮かべる。元々器用な人だったので、私は材料の提案や組み合わせの指示こそしたものの組み立てはほとんどルードさんが行ったのだった。

「花火と爆竹しか火薬が無いと、これぐらいが限界ですね……」

 ルードさんが作り上げた爆弾ーーというより爆風がすごい花火ーーを確認しながら私が言うと、ルードさんと一緒に覗き込んでいたルーファウスの二人は顔を見合わせて笑っていた。
 ルーファウスはまだ身体が痛むだろうに、それでもこうして彼が立ち上がって笑っているだけで、こんなにも胸の奥が熱くなるなんて。
 こう思うのは、きっと私だけでは無いはずだ。ルードさんも普段より口数が多い。彼に手作り爆弾を返すと、ルードさんはサングラスの奥で目尻を下げて、満足そうに頷いた。

「ありがとうナマエ」
「いえ、ルードさんがこんなに器用だって知りませんでした」
「ルード、でいい」

 空の向こうからヘリのプロペラ音が聞こえてきた。二つの大きな影が広場を覆い、激しい風が吹き荒れる。

「ルード、よろしくね!」
「ああ、任せろ。お前の分までぶち上げてくる」
「うん! なんと言ってもそれ、神羅の技術の結晶だからね!」

 やがて目の前に降りてきた梯子に手足をかけると、小脇に花火爆弾を抱えたルードは空へ飛びたっていった。
 そして、後に残ったのは私とルーファウスだけ。

「堂々と俺の前で、その俺の部下とイチャつくとはな」

 声を低くして眉を顰めるルーファウスは、私の目の前で腕組みをする。わざとやっているのだとは分かるけど、それでも目の奥もあんまり笑っていなかった。

「少し離れた間に男の趣味が変わったのか?」
「ごめんね、ルーファウス。分かってくれてるとは思うけど……」

 だからここは素直に謝ることにする。タークスの人達と親交を深めていけることは純粋に嬉しかったけれど、やっぱり私にとっての一番はルーファウスだから。彼が嫌だと思ったなら謝るし、気をつけないといけない。流石に今のは、冗談だとは思うけど。

「フッ……相変わらず、真面目だな」

 ようやく腕組みを解いて表情を和らげたルーファウスが笑う。こうして立って歩いて笑っていると、星痕を患っているなんて思えないのに。私は彼のこめかみから目を逸らして、青い瞳に向けて微笑みを返した。

「遅くなってごめんなさい。ほんとに……無事で良かった」
「お前達なら辿り着いてくれると思っていたさ」
「でもあんな所から飛び降りるのはもうやめてね。心臓が何個あっても足りないよ」
「なら善処しよう。お前の寿命は何より大切だ」

 そう言って、ルーファウスは腕を広げた。

「二人きりだな」

 彼の言う感動の再会を果たすため、私はルーファウスに向けて一歩踏み出す。しかし私が手を伸ばすよりも早く、彼は激しく咳き込み始めた。

「ルーファウス! しっかり!」

 背中を丸めて苦しそうに喘ぐ彼の元に駆け寄って、私はその背中を摩った。だいぶ無理をしたのだから身体に障るのは分かりきっていたことだ。それなのにすぐしっかり休ませてあげなかったことを私は激しく後悔した。
 車椅子をルーファウスの後ろまで押してきて、彼の腕を支えて座らせる。口元を押さえたルーファウスの指の隙間から、黒い膿がぼとりと地に落ちた。

「大丈夫、大丈夫だからね……」

 私は彼をさすり続けながらそう繰り返す。それはルーファウスにと言うより、自分自身に言い聞かせるためのものだったかもしれない。

「忌々しい……だが、きっと……」

 荒い呼吸を繰り返しながら、ルーファウスは膿の張り付いた拳を握りしめた。その視線の先にあるのは、せっかく完成したのに破壊されてしまった記念碑と、広場に撒き散らされた鉄骨。

「俺たちは、何度でも立ち上がる……!」

 こんなに痛々しい姿をしているのにその言葉がとても力強くて、私は思わずルーファウスを背中から抱きしめた。


 ーー街中に優しい雨が降り注いだのは、それから少し経ってからのことだった。

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