ひなのはよし、と立ち上がると友人たちを見る。


「じゃあバスケ部行ってくるね!」


友人たちは手をひらひらと振る。


「はいはーい、行ってらっしゃい。」


その言いぶりにひなのは眉を寄せる。


「なに、そのどーでもいい感じ。」

「あはは。大丈夫大丈夫。」

「なにが!?」

「ただ、最近は昼休みが三井くんで放課後がバスケ部だなーと思って。」

「う、…まぁね。いいんだよ、あんましつこくしたらアレだし!」


うんうん、と頷きながら言えば友人たちは笑う。


「大丈夫よ、気にしないで行っておいで。」

「息抜きも大事だからね。」


にこりと微笑んで言われ、ひなのはパァと明るくなる。

「――!そ、そうだよねっ、えへへっ、行ってくる!また明日ね!」


ひなのはそう言って荷物を持ち、バタバタと駆けていった。

見送った友人たちは笑う。


「いやー、ひなのは単純だねー。」

「ほんと、おもしろいねー。」

「その内バスケ部行ってるひなの見に行こうよ。」

「おっ、いいねー。」





















「あ、彩子ちゃーん!」


ひなのは体育館に来た彩子ちゃんに手を振る。
(今日は彩子ちゃんより早く来たよ私!)

ひなのの声に彩子ちゃんはにこりと笑う。


「ひなの先輩!今日も来てくれたんですね!」

「えへへっ、うん。」

「やっぱりマネージャーやってくださいよー。」


そう言う彼女に、確かにもうバスケ部の常連も常連だということに気づく。

しかし笑ってごまかした。


「あはは、それはまた別だなー。」

「もう、先輩逃げましたね。」

「あはは、まぁまぁ。」

「でも先輩今日早かったですね。」

「ふふふ、珍しいでしょ?」


得意気にそう言えば、彩子ちゃんは苦笑いする。


「先輩方向オンチ認めたんですね。」

「み、認めてはないから!」


彩子ちゃんはその台詞ににやっと笑いながら部活の準備を始めた。

と、その時部員たちが入り口の方を見て「あ!」と口を開く。

それを不思議に思い振り返る。


「宮城!!」

「宮城!!」

「宮城だ!!」

「みやぎ?」


入ってきたのは宮城と呼ばれている男の子と、何故かふてくされた表情をしている花道くんだった。

宮城くんはみんなを見て口を開く。


「――ただいま。」


宮城くんの周りに木暮くん、2年の子が集まっていく。

ひなのは見たことのない男の子の姿に首を傾げる。


「…彩子ちゃん、あの子は一体…。」


彩子ちゃんは何故か複雑そうな表情をして彼を見ていた。

それにひなのは首を傾げる。


「どしたの彩子ちゃん。」

「あ、いえ。そうですよね。アイツは私と同じ2年で、宮城リョータっていうヤツでして…。」

「へえー、2年の子なんだね。初めて見たなぁ。」

「はい。まぁ、リョータ今まで入院してたので…。」

「えっ、そうなの?」


入院、というフレーズにひなのは目を丸くさせる。

そういえばついこの前まで三井も入院してたんだよねー。

すごい偶然。


「なるほど。だからおでこにバンソーコー貼ってるのね。」


その台詞に彩子ちゃんはズルリと滑る。


「え、どしたの彩子ちゃん。」

「…いえ、本当に先輩おもしろいですね…。あのバンソーコーは入院とは全く関係ないんです。」

「そうなの?」

「ちょっとここに来る前にトラブルがあって…。」


はぁ、とため息をつく彩子ちゃん。

ひなのはまた首を傾げる。


「大丈夫?」

「ええ、まあ。桜木花道と気が合わなさそうで心配なんですよ…。」

「え、そうなの?」


ヤスくんと1対1をしている宮城くん。

そのなめらかな動きとスピードにひなのは感嘆の声をあげる。


「わぁ…すごいね宮城くん!早いっ!!」

「むっ、そんなことないですよひなのさん!!あの野郎は野蛮なヤツでして…。」


ひなのの視界を遮り言う花道くん。
(人のこと悪く言うなんて珍しい。なんだろうケンカでもしたのかな。)

その隣で木暮くんも口を開く。


「あいつは問題も多いが…、バスケの実力は次期キャプテンといわれるくらいさ。」

「―――!!」


その言葉を耳にした花道くんはずんずんと宮城くんの元へ歩いていく。


「ん?花道くんどうしたんだろ。」

「ああ、イヤな予感しかしないわ…。」


頭を抑える彩子ちゃん。

花道くんは宮城くんと話をしていたヤスくんの首根っこをつかむとポイと放り投げる。
(花道くんバワー半端ないな。)

宮城くんの前に立つと花道くんは彼が持っていたボールをがしりと取る。


「――オレが次期キャプテンだ。」

「勝負すんのか!?」

「ああ…。」

「なんかイヤな予感…。」

「わー、おもしろそー!」


わくわくしながらその行方を見ていれば、ヤスくんたちはこっちをギョッとして見る。


「「「ええっ!?」」」

「ん?」

















なんでそんな目で見るの?













(…ひなの先輩…先輩だけですよ、おもしろそうとか思ってるの。)

(え、ウソッ!?)

こくり。

(ええええ。絶対おもしろいと思うけど。)

(私はイヤな予感しかしないですよ。)

(((同じく。)))

(そ、そうかなぁ…。)









***
いよいよ本格的に原作入ります。
ここまでがだらだら長いことには目をつぶってください…!


130622執筆




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