「ひなのさんっ、見ててくださいよ!!」

「あははは〜見てるよ〜。」


ひなのはへらりと手を振りながら花道くんに視線を向ける。

すると花道くんはまた気合いを入れ、物凄い早さで動き始めた。

そしてひなのの隣にいる晴子ちゃんに(頬を赤く染めながら)手を振る。


「天才桜木!!どこまでもうまくなりますから!!ハルコさん!!応援しててくださいね!!」

「ふふ、桜木くんたら…。」


花道くんの行動に晴子ちゃんは柔らかく微笑む。

それを見てまた花道くんはテンションが上がったようである。

そんな様子を見ながらひなのは苦笑いする。

この子は分かってるのだろうか。

晴子ちゃんが微笑えんだだけで花道くんがやる気を出しているということを。

晴子ちゃんはニコニコしながら口を開いた。


「――本当にバスケが好きになってくれたのね!ヨカッタわ!」

「………。」


わかってない。

わかってないぞ晴子ちゃんは。

花道くんの道は険しいよ。

がんばれ花道くん。

気合いだ花道くん。

どこか遠い目をしていたひなのを不思議そうに晴子ちゃんが見ていた。


「…先輩、どうしたんですか?」

「……あはは、なんでもないよー。花道くんがんばってるね。………………ん?」

「ルカワくん素敵…。」


返答がないことに疑問を感じて、ふと晴子ちゃんに視線を向ければ晴子ちゃんは目をハートにして花道くん…ではなく流川くんを見ていた。

勿論だが彼女の目の前で手を振っても気づいてくれない。
(藤井ちゃんたちがプルプルと首を振って「今は無駄ですよ」と教えてくれた。)

…ほんとに道のりは険しいぞ花道くん。

ひなのは彼女に話かけるのは諦めて練習風景を見ることにした。


「ほらほら!!走って!!」

「おお、彩子ちゃん凄い気合い。」


彩子ちゃんの声が響く。


「ヤっちゃん!ボール!」

「はいっ、」


そんな声と同時にコロコロ…とひなのの足元にボールが転がってきた。

それを拾った時、赤木くんの「十分休憩!!」という声が響いた。

ボールを持ったままいると、彩子ちゃんにボール!と言われていた部員の子がボールを取りにきた。


「すいません…ボール拾ってもらっちゃって。」

「全然いいよー。どうぞ。」

「ありがとうございます。」

「あ、えーと、あのさ、君、」

「?」


ボールを渡した後にひなのはしどろもどろになりながらも声をかける。

それを彼は不思議そうに首を傾げていた。


「あのさ、君、瞬発力あるよねー。」

「はい?」

「だから、もっと瞬発力とか鍛える為にフットワークいっぱいやるといいかも。」

「…え?」

「今のままでも充分“標準”の力はあると思うの。冷静だし、動きもなかなかだし。でも赤木くんの言う“全国”では、もう少し足りないよ。君ならレベル上げれる。ちょっとでもやれば、大きく変わる。毎日の積み重ねって大きいものだから。」


にへらと笑いそう言い、ハッとする。

部員の子はぽかんとしてこちらを凝視していた。

しまった、つい調子乗ったこと言っちゃったよ!

私何様だよって感じだよね!?

ちょ、どうしよう…でも絶対変わると思うんだよね。

あああ…でもやっちゃったな私!

心の中で大きく反省していると、彼はニコリと微笑んだ。


「先輩、オレ、変われますか?」

「え!?う、うん。そうだと思うよ。」

「ありがとうございます。先輩。」


なんて真っ直ぐな子なんだろう。

こんなウザイ先輩の言葉なんて無視しちゃえばいいのに。

真剣に聞いてくれたんだ。
(いや、真剣に伝えたつもりだけども。)

なんだか頬が緩む。


「あ、オレ安田です。2年です。」

「安田くんね。そっか、彩子ちゃんと仲いいのは同い歳だからねー。」

「ああ、彩子の声には驚きますけど。」

「あはは、声大きいもんね。」


笑ってそう返せば安田くんは、ハッとして彩子ちゃんの位置を確認する。

距離は少し離れている為、会話は聞こえていないだろう。

それに少しほっとしたのか、安田くんは、苦笑いする。


「ひなの先輩内緒ですよ、今の。彩子に殴られそうなんで。」

「わかったわかった。2年はあと誰なの?」


必死な安田くんに笑いながらも尋ねると、安田くんはドリンクを飲んでいる部員たちの方を向く。


「2年は、オレと、潮崎、角田ですよ。」


指差してくれたおかげで、どの子が誰かようやく区別がつき始める。

「…なるほど、やっと2年と1年の区別がつきそうだ。」

「ははは、先輩、またいろいろ教えて下さい。」


丁寧に頭を下げる安田くんにひなのは慌てる。


「や、そんな大それたことはできないし!それにほんと急にごめんね!」


逆に謝れば彼は一瞬ぽかんとした様子を見せ、そして優しい笑みでこちらを見る。


「いえ、ありがとうございます。」

「ちょ…!!」

「?」











その笑顔癒し系
















(ごめんほんとにごめん!ヤスくん可愛い!!)

(え、か、かわ…?)

(ハッ!ごめん男の子に可愛いとか!!でもほんと可愛い!!癒される!!)

(………。)

(あーもう究極癒し系だね。花道くんとは違う可愛さだ…!)

(いや、別にオレは可愛くはないです…ってえ!?さ、桜木が、)

(可愛いよね!!)

(……………。…………そうですね。)

(やっぱり!?他の人に言ってもあんまり同意もらえないんだよ〜!気が合うねヤスくん!)

(………。)









***
主人公っていうか人にうまく合わせれるヤッちゃん。
主人公なにかアドバイスしてますけど、それが正しいかとか言ってる意味とかその他云々ほんとバスケのことよくわからないのでアバウトです。
突っ込まないで下さい〜\(^o^)/笑


130512執筆




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