「はよー!」
「ひなのおはよ。」
「なに、楽しそうだね。」
そう尋ねられ、ひなのはにへらと笑う。
「今ね、花道くんたちに会ってさ。友だちって再確認したとこ!」
嬉しいな、と呟くと友人は遠い目をする。
「え、なにその目。」
「いや、その“花道くん”って赤い髪の一年生でしょ?」
「うん!可愛いんだよ!」
そう言えば、彼女はため息をついた。
「やっぱりね。どうせひなのの変な可愛い定義だと思ったよ。」
「ちょっとなにそれ。失礼なんですけど。変なって。」
「変でしょ。ひなのの可愛いは、人とはズレがあるからね。」
「そ、そんなことないよ!!」
そう言うも、友人はふーとため息をつく。
腹が立ちました。
もう一度言います。
腹が立ちました。
ムッとしているのに気づいているにも関わらず、友人は話をそらす。
「それで?三井くんには会えたわけ?」
「へへっ!うん!!ちょっとひねくれてたし、まだバスケ部には戻ってはこれなさそうだけど…。でも話できたよ。」
「そっか、よかったね。」
「うん!」
へへっ、と笑うとまだまだなんだから頑張りなさいと怒られる。
ほんとこの二人にはいつもお世話になってばかりだなあ。
「てゆうか三井くん、どこの病院だったの?よく見つけたね。絶対見つけられないと思ったのに。」
「そうそう。道に迷った〜とか言ってね。」
前言撤回。
この友人たちはやっぱり私をばかにしている。
(道には迷ったけど。)
「三井、退院したみたいでさ、ちょうど会えたんだ。」
「そっか、じゃあ学校来てるのかな?」
「うん、来るって言ってたし…サボってるかもだけど。だから私今日三井とお昼食べることにしたから!」
「「え、」」
「え?」
ぽかんとした表情の友人たち。
なによ、なんですか。
「そんな進展したの?」
「不良卒業したの、三井くん。」
「え、してないけど。がっつり不良だけど。でももっと話しなくちゃって思ったから一緒にごはん食べることにしたんだ。約束はしてないけど。」
「えー。」
「やっぱばかだわ。ひなの。」
「なにが!?」
改めて言うことでもないし、バカにしすぎだよね。
「だって約束もしてないし、三井くんはまだ不良だしって。」
「大丈夫なの?」
「なにが…?」
「だーかーら、前も言ったけど、相手は不良ってことだよ。」
「そうそう。中学仲良くても、今は不良。三井くんはよくても不良仲間に絡まれたらどーすんの。」
目をぱちぱちさせながら友人の話を聞く。
言われてみれば、三井はいいけど、ヤツの不良仲間に絡まれたらビビるかも。
いやでも…。
「あはは!大丈夫大丈夫!!マンツーで話するから!じゃ!」
ひなのは弁当を持ち、三井のクラスに向かう。
友人たちは呆れたように、しかしもう諦めた表情で見送る。
――しかしその数秒後、ひなのは戻ってきた。
「三井って何組か知ってる!?」
「………やっぱ心配だわ。」
「同感。」
「ウッ、だ、大丈夫だから!」
なるようになるさ
(ほんとにもー、気をつけなよ?)
(エヘヘ、うん。)
(エヘヘじゃねーよ。気を張りなさい。)
(ウス、がんばります。)
(ほんとに頑張ってよね。)
(三井くんは3組だよ。)
(おっけー!3組ね!!)
(なんで私らが調べないといけないんだろう。)
(あはは、それは二人が頼りになるキャラだから。)
(意味わかんないし、もういいから早く行きなよ。三井くん見つからなくても見つかるまで戻ってこないでね。)
(え!?なんで!?てゆうか三井が休みだったらどーすんの!)
(知らない。)
(えー!!まさかの適当!?)
130317執筆