「ばかじゃないの?」
「うん、ばかだね。」
「――え?」
現在、私、ひなのは友人に罵られています。
あれ、なんかついこの前も同じようなことがあったような。
デシャブ?
そんなことを考えていると、友人たちはこちらを見て深くため息をつく。
え、ちょっと待って、人の顔見てため息とかかなり失礼なんだけど!
「ひなのさ、なに高校生活楽しんでるわけ?」
「え、今までも楽しんでるつもりだったけど。」
「ちがう!」
びくり、
突然叫んだ友人にひなのはびくりとする。
「な、なに、一体…。」
ドギマギするひなのを友人は指さす。
こら、人は指さしちゃダメだぞ。
「私らが言いたいのは、なんで今、“バスケ生活”を楽しんでるのってこと!」
「ああー!それ?いやーなんかさあ、すごいおもしろい一年の子がいてね!」
ひなのはへらりと笑いながら話す。
「それがまたハチャメチャで!!でもバスケの才能ありそうなんだよねえ、初心者なんだけどさ。あと、もう一人がまたスゴい子見つけて!なんてゆーの?天才肌っていうのかなあ、あれは。この前その子と勝負して、久々にバスケやったけどいやー楽しい楽しい。あんなうまい子とバスケできるなんてね!今年のバスケ部ほんと期待できるよー。それに二年の子も一年の子も可愛いし、いい子達で!」
ひなのはペラペラとまだ話を続ける。
「あとね、赤木くんの妹が晴子ちゃんっていうんだけど、全然似てなくて!!ほんとに!!めっちゃ可愛いの、ステキな女の子なの!いやー、ほんとびっくりしたなあ。あ、今度一緒に見に行く?」
ようやく最近出会った人たちのことを話し終え、笑顔で友人を誘う言葉を発し、視線を友人に向ける。
それと同時、ひなのはびくりとする。
友人たちの視線は、友だちに向けるモノとは思えないほど冷たいのだ。
な、なんでそんな目をしてるんだろう…。
彼女たちには最近あった楽しいことを話しただけだったのに。
――ハッ!もしかしてあんま面白くなかった!?
いやでも花道くんのくだりで半端なく面白いハズなんだけど。
もう一度恐る恐る彼女たちを見る。
うっわー、冷たい。
怖いよ、まじ怖いよ。
そんな目で人を(しかも友だちを)見たらダメでしょ。
そんなことを考えていれば、冷たい視線だった彼女はようやく普通な(にはまだ遠いかもしれない。若干冷たさが残ってる。)目に戻した。
「……ハァ。」
そしてため息ついた!!
ちょっと、お姉さんたち!?
ため息って、ため息って…。
人の顔見てため息ほんとやめてってば。
ショックを受けていると、友人は口を開いた。
「あのね、ひなの。あんたの最初の目的、なんだったの?」
「うん?そりゃー勿論バスケ部に顔出す………。」
そう言った途端、友人の顔が鬼のような顔になる。
それに気づいて慌てて言葉を修正する。
「や、やだなー!そんなわけないじゃん!!ただの冗談だよ冗談!!そんな怖い顔しないでよー!冗談なんだから!!」
「ひなのの言葉は冗談に聞こえない。」
「ほんとに。」
「すいませんでした。」
謝ると友人たちはまたため息をつく。
「で、ひなのの目的はなんだった?」
「三井と、話すること。」
「そう。ひなの最近バスケバスケって言ってるよ。」
「…はい。」
「どうせ三井くんは2年もほったらかしてたから何日経っても同じとか考えてんでしょ。」
「ごもっともです。」
「それにすぐ道に迷うから迷った途端に諦めるんでしょ。」
「そのとーり。」
「その調子じゃ三年生終わっちゃうよ?」
「うん、わかってる。」
しゅんと俯く。
わかってる、自分が流されやすいし、すぐ諦めやすいこと。
でもちゃんと頭に三井のことは入ってる。
いい加減にしないと本当に卒業式を迎えてしまう。
ひなのは顔を上げる。
「うん、ちゃんと三井探してくる。」
そう言うと友人たちは顔を見合わせ、微笑んだ。
今度こそ真面目にやります探します
(そんなひなのにいい情報。)
(え、)
(三井くん、二年生の人とケンカして入院してんだって。だから、見つからなかったんだよ。)
(ケンカして、入院…。ほんとに不良か。)
(不良なんでしょ?)
(不良だよ。)
(………だよねー。)
***
時間の流れが原作とはズレるんですが。
この話の流れとして…、
主人公三井と再会→三井入院→主人公バスケ部入れ浸る
って感じです。
この話ではこの流れでいかせてください!(*^^*)
130316執筆