7.いつものこと



この島に上陸してから2日目──ルフィ、ナミ、ゾロ、ウソップ、チョッパー、ロビンは町へと繋がるのどかな道を歩いていた。
ナミは少し後ろを歩いている船長にため息を吐く。
ちょっとばかりシオンに線を引かれたからって情けない。
近頃はあの距離を感じる事はなかったが元々自分の事をあまり話す事のない彼女だ。
久々にあの距離を感じたとナミ自身も寂しさを感じてはいたが、話さなすぎて寂しさを超え怒りも感じてしまう。
ふーっと息を吐いて自分の心を落ち着かせるとナミは振り返った。


「──ちょっとルフィ、いつまでそうやってむくれてるつもりよ。ちょっと前なんてあの子のあんな姿しょっちゅう見てたでしょ!」


もう、と息を吐く。
するとルフィは分かりやすすぎるくらいにむすっとしながら口を開く。


「別に、むくれてなんかねェ。」

「それがむくれてるっていうのよ!」


そう言い返された事にルフィは返事を返さない。
そのやり取りを見ていたウソップが慌てて間に入る。


「まァまァ落ち着けよ。せっかく町に行くんだからよ、楽しもうぜ!」

「そっ、そうだなっ!おれも楽しみだ!」


ウソップに合わせて頷くチョッパー。
そのやり取りにゾロは「くだらねェ…。」と呟く。
一味のその様子を見ながらロビンはくすりと微笑む。


「みんな少し落ち着いたらどうかしら。ほら、もうすぐ町よ、航海士さん。」

「…あ、そうね、ロビン。」


ふーと息を吐くナミにロビンは続けて声をかける。


「航海士さん、今日のんびりさんをあえて船番にして出かけたのは昨日会ったという少年を探すためなのでしょう?」


ロビンの言葉にナミはぎくりと体を固め、ルフィ達はナミに視線を向ける。
彼女の言葉にウソップもチョッパーも想定していなかったのか驚いた様子を見せている。
勿論ルフィも同様でありナミに視線を向けた。
ゾロはそんな事だろうと思ったぜ、と息を吐く。
全員の視線を受け、ナミはあたふたする。


「だっ…て!シオンは自分からは言わないじゃない!!でもあの子が人殺しなんて…そんな事はあるはずない!だから、」


もごもごしながら言うナミにロビンはくすりと笑う。


「なっ、なによロビン。」

「いいえ、素直じゃないわね。」


その言葉にナミはうう、と唸る。
その横でルフィがぐいっと距離を詰めてくる。


「あいつを探すのかっ!?どこだ!どこに行く!?」


ぐいぐい近寄ってくるルフィにナミは「あーもう鬱陶しい!!」と怒鳴りつける。


「あの子がどこにいるかは分からないけど、この町の子って事は間違いないんだから…見て回れば見つかるわ!きっと!」


どーんと拳を握って言うナミにウソップはおいおい、と口を開く


「結局策もなんもねェって事じゃねぇかよッ!」


ズビシィ!
鋭い動きでツッコミを入れるウソップにナミは「なにか文句ある?」と凄む。
そんな彼女に一瞬で萎むウソップ。
ナミはふん、と息を吐くと口を開く。


「そう、あの子が自分の事をしゃべらないのはいつもの事なんだから私たちは勝手にあの子に構えばいいの!あの子の代わりになんとかすればいいのよ!──そうでしょ!ルフィ!」


これで間違っていないのだと確認するかのようにルフィに言葉を飛ばすナミに、先程までむすっとした表情であったルフィはいつものようにニカッと笑顔を見せる。


「そォーさ!!おれ達が勝手にシオンの代わりをすればいいんだ!しししっ!!行くぞっ!!」


そう言って走り出したルフィに残された一味はぽかんとした後笑みを浮かべた。


「そうよね、私はやるわっ!」とナミ。

「しょうがねェ奴だなシオンは。」とゾロ。

「おれ様があいつの悩みを解決してやろうじゃねェか!」とウソップ。

「おれっ!シオンが悲しい顔してるのは嫌だ!」とチョッパー。

「のんびりさんは本当にみんなに大切にされてるわね。探しましょう、その少年。」とロビン。


よし、と意気込む面々だが既にルフィが行ってしまった事にハッとする。


「ちょっ、ルフィのやつ1人で行ったら絶対行方不明になるのに!」


ナミが頭を抱え、ウソップもルフィの走り去った方を見ながら言う。


「つーか本当にしらみつぶしに探してたらすげェ時間かかるよな。しかもルフィも探さねェと。」

「ルフィ迷子になるのか?ゾロじゃなくて。」


じぃっとゾロの方を見て言うチョッパーにゾロは「なんでおれを見てんだ。」と返す。
そしてロビンは頬に手を当てて口を開いた。


「そもそもの話だけれど…。」

「?」

「しらみつぶしにこの島を探さなくても船医さん。あなた昨日件の少年に会っているのなら匂いで追えるのではなくて?」

「………。」

「………。」

「………ほんとだっ!!おれ匂いでわかるぞっ!!」


ロビンの言う事に一瞬で同意する一味。
そしてその瞬間、ルフィが遥か先、姿が見えなくなっている事にハッとする。


「──ちょっ!ルフィー!!」

「おいもう行っちまったぞ!!」

「ああもう!あのウロチョロするルフィを探すのに時間かかっちゃうじゃないっ!」

「毎度毎度よく迷子になるもんだぜ。」

「おおい!お前の言うセリフじゃねェだろっ!!」

「ふふふ、賑やかね。」











結局ドタバタ





(ロビン笑ってる場合じゃねェよっ!)
(あら、ごめんなさい。でも早く船長さん追いかけた方がいいんじゃないかしら。)
(ルフィー!おーい!)
(おいゾロどこ行くんだよっ!お前まで迷子になんなよ!!?)
(おれは迷わねェ。)
(嘘だろどの口がそんな事を…。)
(あーもう!とにかく!!一番にルフィを確保!それからあの少年を探しに行くわよっ!)





190728執筆



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