「あ、先輩〜間に合いましたね!」

「彩子ちゃん。意地で間に合ったよ。」


笑いながらそう言えば、彩子ちゃんはお疲れ様です、と笑う。

そして晴子ちゃんと楽しげに話をしている花道くんを呼ぶ。


「桜木花道!!あんた着替えてこなくていいの?始まるわよ!」

「ハッ!!」


花道くんは彩子ちゃんの言葉に驚いて慌てて晴子ちゃんに「ではまた後で!」と言って行ってしまう。

その様子を見て彩子ちゃんさっきも鶴の一声で言ってくれたらあんなに重い目には合わなかったんじゃあ、と思う。

それを彼女に伝えると「面白そうだから」と笑って返された。

ええ。


「彩子ちゃん、確信犯だね。」

「そんな人聞きの悪い…仲がいいんだからいいじゃないですか。」

「……その理由も謎だけど。」

「ふふふ。」


素敵に笑う彩子ちゃん。

うわお、魅力的な笑顔だなー。

そんなことを考えていれば彩子ちゃんの斜め横から彼女を見つめる熱い視線が。

宮城くんの姿を見てくすりと笑う。

彼の側にいって、コッソリ話しかける。


「宮城くん、本当彩子ちゃんのこと好きなのね。」

「なっ…いや、」


顔を真っ赤にさせてモゴモゴとしゃべる宮城くん。

可愛いなぁ本当に。

ふふふと微笑んでいれば微妙な表情をする彼にまた笑う。


「まぁ私のことは気にしないで。ただの呟きだから。」

「…先輩さっきの仕返しですか。」

「え?何のこと?」

「……先輩もなかなかのやり手ですよね。」


ふふふと笑って返すとそれを肯定と受け取った宮城くんはスミマセンでした。と謝ってくる。


「あはは、冗談だよ。気にしてないから。確かに助けてくれないの?って思ったけどね。」

「ははは、まぁでも先輩は花道のダチなんですもんね。」

「うん、可愛い後輩で、ダチだよ。勿論宮城くんもね。」


そう言えば頬を赤く染めて「あざす。」と頭を下げる宮城くん。

うんうん、そんな彼に免じてさっきのことは許してあげよう。

可愛い後輩だからね。

楽しい会話にほんわかしていると後ろから流川くんに話かけられる。


「先輩。」

「うわ、び、びっくりした。」

「流川気配なさすぎだろ…ハッあやちゃん!!そんな重たいのオレが持つから!!」


流川くんに失礼なことを言い放ち(私も気配ないな、って思ったけど。)彩子ちゃんの元へ駆けていってしまった宮城くん。

そんな彼を見送り、話しかけてきた流川くんに視線を移す。

相変わらず表情の薄い子だ。

そして彼が話しかけてくる、そんな時は大抵同じ会話である。


「先輩、今日勝負。」

「やっぱりね。」


そう、大抵同じように勝負を挑まれる。

初めて勝負したあの後、何故か気に入られてしまったようで(私が流川くんに勝つ要素はないし、そう彼にも伝えているが)何度も何度も勝負を挑まれるのだ。

私の負けず嫌いは認めよう。
(流川くんも大概な気もするが。)

勝負を挑まれると昔の感覚でオッケーを出してしまった私も認めよう。

それに未来のありまくる彼との勝負だなんて光栄──なんだけど疲れる。

どっと疲れる。

どうしてこんなに気に入ってくれたのかは未だに謎である。

私自身は彼よりもだいぶ小さいし、私的には小さいなりに戦う術をもって(後は今までの実践をもって)戦っているんだけど。

どこか流川くんに参考になる部分があったのだろうか。

自分が考えても流川くんの考えていることはわからない。

わからないから彼の気がすむまでは勝負を受けようとは思っている。

でもね、not部活民な私が現役しかもピチピチの高校一年と戦うのは疲れるわけですよ。


「イヤだ!」

「む…。」

「だって流川くん休憩時間がどんどん削られてるよ!それに終わった後の自主練も過度すぎるのは体を壊す原因になります!今日はなし!」


そう伝えるとあからさまに残念そうな(表情薄いがなんとなくわかる。)様子の流川くん。

しかしそのやり取りを聞いていたらしい彩子ちゃんが飛んできて流川くんを一喝した。


「こら流川!いつもいつも勝負挑まないの!ひなの先輩は自分から言わないけど流川、先輩はまだ怪我完治してないんだから!無理させないのよ!」

「え、私?」


ぽかんとして彩子ちゃんを見ると彩子ちゃんはキッと睨みつけてくる。


「先輩人のことばっかりですけど!ちゃんと自分のことを考えてください!」

「いやいや、ええ?」

「とゆうわけだから流川あんた諦めなさい。」

「うす。」


流川くんは彩子ちゃんのいうことを納得したらしく返事を返す。
そして流川くんはこちらを見てくる。


「先輩早く怪我治してください。そんでしょーぶ。」

「え、あ、ハイ。」


こちらが頷いたことを見てから流川くんはストレッチを始めた。

とりあえずフゥと安堵する。

怪我云々は特に気にはならないが疲れた状態で彼の相手をするのはままならない。

どっちにしろ今日は免れてよかった、そう心から思ったのだった。

そう考えていれば隣から冷たい気配が…。
















先輩その分かってない表情やめてください。













(え、え、なんで。)
(なんでじゃないです。顔見てたら何考えてるかわかりますよ。本当に自分怪我のこと考えてください。)
(………はい。)
(大体先輩は自分の体調悪くても言わないタイプですよね。だめな時はだめって言わないとだめですよ。)
(ごめんなさい。)
(そもそも断る理由が流川優先なのはですね…)
(……長くなるのかな。)
(聞いてます?)
(はい聞いてます!)

 


*****

彩子ちゃんは他人優先な主人公が心配でしょうがなくてひやひやしている。
主人公はよく彩子ちゃんに怒られています。

141018執筆






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