──side三井
暑いと感じる顔を手で隠すようにしながらも、視界はひなのへと向いていた。
アイツは既にマネージャーと楽しそうに話をしながら笑っている。
「私の三井への信頼はどん底に落ちてたからね。もしかして、があるかもしれないじゃない。バスケ部に戻ったっていうのも私の妄想だったかも、夢だったのかもって。だからやっぱりバスケ部にいる三井見て安心したんだよ。いてくれてよかった、三井はバスケしてる姿が一番いいな、って。」
そう言ったアイツは本当に不安げな表情をしていて。
オレはアイツにどれだけ心配をかけてきたのだろうか。
もうオレはもう喧嘩なんかしない。
(安西先生とも約束をした。)
なのに、それだけではまだ不安に思われていたなんて。
お前がいる限り、もうあんな風にはならねーよ。
あんな一言だけでは物足りないかもしれないが、あの言葉一つだけで満足そうに微笑むひなのを見て、やっぱりオレはここへ戻ってきてよかったと、そう思った。
──二度と約束は違えない。
そう決意したはいいが、あいつはオレの事を何だと思っているのだろうか。
不良になっていたオレをものともせず近寄ってきたり、からかってきたり。
普通の友人がそこまでしてくれるものなのだろうか。
どこか、特別な物を感じるのはオレだけなのか。
さっきあいつの顔が直視できずひなのの頭を押さえ込んだこの手を見つめ、火照っていた頬をあおぐ。
すると少し離れた所からひなのがこちらを見ている──にやにやして。
「っ、何だよ!」
「へへへっ、なーんでもないよー。」
「くそっ、その顔が腹立つんだよ!!」
そう言ってやれば、わかりやすく頬を膨らませ怒るひなのにオレはつい、笑った。
オレはここへ戻って来て、今お前と一緒にいれて本当によかった。
(みーついくーん、顔がまだ赤いですよ?)
(うううるせぇっ!)
(三井さんとひなの先輩、本当に仲良しですね。)
151031