「ああもうほんと洋平くん酷い!」

「はは…まあまあ。」

「まあまあ、じゃないっ。」


ぷんぷんと怒りながらドリンクを体育館に持ち帰る。

その後を面白そうについてくるのは洋平くん。

彼にはドリンク運ぶのを手伝ってもらうことにした。

どうしたものか、この後輩は。

しかし彼も花道くん同様、なついてくれているのは確かなようで、それが嬉しいと思う心はあるわけで。

まあこんなやり取りも楽しいからいいか、と思いながら体育館へと戻る。

彩子ちゃんの元へとドリンクを運び置くと彩子ちゃんは行きにはいなかった洋平くんの姿を見て不思議そうな表情を見せる。

手伝ってもらったんだ、と伝えればどこか納得したような様子で頷く。 


「先輩と水戸洋平、仲いいですよね。」

「そう?」

「よく一緒にいるのを見る気がしますよ。」


そう言う彩子ちゃんの言葉に、少し考える。

洋平くんには色々相談したり助けてもらったりとお世話になっていた。

それから確かに洋平くんと話するのが楽しくてよく一緒にいたような気もする。

一緒にいるのが自然すぎてあまり考えた事はなかったけど。

ひなのはにへらと笑って洋平くんを見る。


「洋平くんといるの、気がラクだし楽しいもんね。」


そう同意を求めるように彼を見れば彼はしばらくだんまりで。


「え、もしかして私の勘違い?」


そうもらせば、洋平くんは「いや、」と口を開く。


「オレもひなのさんと話すの気がラクですよ。」


その内容が嬉しくてつい笑みがこぼれる。

ほんと、いつの間にこんな仲良くなったんだろうな、と考えていれば洋平くんはニヤリと笑って続きを話す。


「それにひなのさん、花道にひけをとらないくらいおもしれーし。」


花道くんと同じくらい面白い、という話はまぁいいとしよう。

だが、あからさまにからかい調子なその様子に、ピクリと頬が引きつる。


「洋平くん…?」

「ははは!じゃーな!」


怒る前に洋平くんはサッとその場を去って花道軍団の元へと戻っていく。

その素早さに察知のよさにむうっ、と頬を膨らませていると彩子ちゃんは面白そうに言った。


「…ひなの先輩の周りは面白そうなことで溢れ返ってますね。」

「なにそれどういう事。」














よくわかんないんだけど。












(え、ねえどういう意味?)
(ふふふ、いいんですよ先輩はそのままで。)
(………気になる。)
(ふふふ。)





150512




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