「ひなの今日は放課後どうする?」
「あ、今日はバスケ部行ってくるよ。」
尋ねてきた友人にそう言えば彼女達は笑う。
「まあそうだろうと思ったよ。」
「え、」
「今日は、って言うけど今日も、だよね。三井くん復活してから毎日行ってるよね。もう監視はやめたんじゃないの?」
監視、というのは三井がちゃんと部活にくるかどうかが心配で見張っていたことを言う。
でももうそんなことをしなくても三井はバスケばかに戻ったとそう確信したのだ。
友人にもその旨を伝えていたからか不思議そうな表情を見せる。
「あ、うんそうなんだけど今日は花道くんと練習する約束があって。」
「あーなるほどね。」
「お気に入りの桜木くんね。」
「うん。それにもうすぐ公式戦だからそれまでは様子見てたいなー、と。どうせ本番は学校で見にいけないし…、それまでは私のできることをやりたい。みんながいっぱい勝てるように。」
そう、公式戦は平日である。
正規マネージャーでない自分が公欠なんてできるわけもなく、応援には行けない。
湘北が勝ち抜けば後々は応援に行ける日もあるだろうけど今の段階では行けない。
ならば今私にできることをやりたい。
それが花道くんにバスケを教えてあげることであり、みんなが部活に集中できるよう補助することである。
どっちも私の勝手な思いではあるけれど手伝いたい。
そう頷いていれば友人達は呆れたように、だけど柔らかい表情で言った。
「ま、頑張りなよ。」
「楽しそうひなの。」
「……うん。」
「じゃあバスケ部落ち着いたら3人で出かけよ。最近出かけてないよね。」
「うんうん!」
盛り上がり始める3人だったがひなのはハッとして立ち上がる。
「よしっ、じゃあ行ってくる!」
「いってらー。」
「また明日ー。」
鼻唄を歌いながら教室を出ていくひなのを見送り、友人達は苦笑いする。
そしてひなのの後から教室を出ていく赤木と木暮を見る。
「赤木くんも木暮くんも聞こえてたと思うけど。」
「ひなのの願い、叶えてあげてよ。」
彼女が試合を見に行けるように頑張れよ、そういう意味をこめて言えば木暮は微笑んで頷き、赤木は「絶対勝つから大丈夫だ。」と返す。
「いつも春川には助けてもらってるからな。応援に来てもらえるように頑張るよ。なぁ、赤木。」
「当たり前だ。春川には世話になってるからな。それに目標はずっと変わらん!目指すのは全国制覇のみだ!」
「なんかあんた達がそう言うと本当にインターハイ行っちゃいそうだわ。」
「本当すごい。応援してるよ。」
「ありがとうな、じゃあ行ってくる。」
「うん、また明日。」
教室を出ていく赤木と木暮を見送り友人2人も立ち上がる。
「にしてもひなのは本当バスケ部に入り浸ってるねー。」
「ほんと。それにバスケ部側もそれを当たり前と思ってるからねー。」
あの子もうバスケ部入ればいいんじゃない?
(さーて、私らは帰りますかね。)
(だね。)
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主人公のバスケ部に対する思い、友人達の主人公を想う気持ち。
名前のない友人たち2人は主人公を見守るいい子たちです。
名前はないけど。←
141207執筆