──side水戸




「──じゃあナイショね!

「ああ、ナイショで。」


ふふふと楽しそうに笑う彼女に気持ちが高揚するのを感じる。

それとほぼ同時に花道に声をかけられ笑顔で手を振る彼女を見た。


「あー!ひなのさんだー!!おーい!」

「やっほー花道くん!」

「ひなのさんいたなら声かけて下さいよ!水くさい!」

「いや、望くんと戦ってて忙しそうだったから。」

「みっ、見てたんですか…!!」


カーと顔を赤らめる花道。

他の奴らに言われたらただ怒るだけであろうに、それがひなのさんだとまるで態度が違う。
(まあハルコちゃんは別にして、だ。)

花道のひなのさんに対しての信頼度は半端ない。

ふと周りの人が少しオレらを避けて歩いていくのが見える。

オレ達は周りから見れば不良という分類で。

別にオレ達はその辺にいる奴らをどうこうするつもりはなくても向こうからしてみれば分からないわけで──必然と避けていく。

だがひなのさんは最初からオレ達を怖がることはない。
(彼女曰く「花道くんは可愛いし、みんないい子じゃない?」だそうだ。)

見た目が普通なそんな彼女の交友関係が若干謎だと思ったのは少し前。

そしてどんな人でもいい人、で片付けてしまう不用心で危なっかしい彼女にハラハラしていたのが初め。

──そして会う機会も増えて、心を救われたと感じて、話をしていると落ち着く人になった。


「ぎゃはははは!」

「くそー!高宮てめーそれ返せ!」

「これはもうオレのだ!」

「まぁまぁ落ち着いて。」

「ひなのさんはなんていい人なんだっ!」


わいわい話をしている彼らを見てふ、と笑う。

花道はひなのさんを見つければいつも嬉しそうに飛んでいく。

そして彼女に張り付いて、苦い顔で助けを求めてこちらを見てくる彼女がいて。

最初はそれに苦笑いして、からかっていただけのオレだったが──




「花道達には黙っててくださいよ。」




何故あんなことを言ったのか。

別に花道たちを交えていつものように騒がしく昼を過ごせばいいはずなのに何故そう口走ったのか。

その理由は自分でもなんとなくは分かっているが。


「ぎゃあ!ちょっと、危ないから!」

「そうだぞ花道!」

「うるせーっ!」


ワイワイと騒いでいる花道や高宮達を見ながらも視線はひなのさんを追って。

そして、もうすでに彼女と昼を過ごす日をオレは楽しみにしていた。





















側で話をしていたい人












(ふんぬー!もう怒った!)
(ぎゃあああ!)
(ちょ、花道くんてば!)
(あ、ハイ!ひなのさん今日バスケ教えてくださいっ!)
(え?う、うんいいけど…。)
(やったぜ!──高宮許さんっ!)
(ええええ!?なんで今の和やかさはどこに!?よよよ洋平くん!なんとかしてよ!)
(…ひなのさんの言うことの方が聞くと思うけどな。)
(いやいやすでに声聞こえてないから!)
(ははは。)
(笑ってないでヘルプ!)




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