──side三井


照れ隠しにわざとひなのをアホだな、だとか恥ずかしいヤツ、と言っていたオレはあからさまにむっすーとした表情のひなのを見る。

ほんと分かりやすい奴だな。

それにしてもひなのはあいかわらずだ。
自分のことなんて省みず、人の気持ちを優先してこっぱすがしい演説までしてきたなんて。
あいかわらず人がいい。

だから自然とひなのの回りには人が集まるのだろうし、彼女が言えばそれは信頼されるのだろう。
不良だった二年間、会わないように逃げていたが──彼女は変わっていなくてよかった。
そしてまた会話ができるようになったことを嬉しく思う。

中学時代は毎日のように話していたのに高校に入ってからはほとんど会話をしていなかった。
ひなのの姿を見るたびに隠れていた頃は本当に心が荒んでいた。
今隣にいる存在に、オレを信じていると言ってくれる言葉に心があったまる。

戻ってこれて、本当によかった。
またコイツの隣にこれて、本当によかった。

そんなことを考えているとひなのがこちらを見ていることに気づく。


「なんだよ。」

「余計なことだった?」

「は?」

「……三井がいいヤツだって、言ったこと。」


ずっと黙って考え込んでいた間、ひなのはそんなことを考えていたのか。
おせっかいには違いないが──余計なことなんかじゃない。
オレはニッと笑ってひなのの頭に手を伸ばし、頭をぐしゃぐしゃにしてやる。


「──ぎゃ!ちょ、なに!」

「はははっ、ばーか。逆だよ逆。」

「逆?」

「感謝してるっての。」

「……!…そっか!」

「おう。」

「へへっ、よかった!!」


ふわりと、本当に嬉しそうに言う言葉に胸が高鳴る。
そう、オレはひなののこの顔が好きなんだ。


「──私ら親友だもんね!!」

「……ああ。」


例え今は親友、だとしてもオレの心は満たされる。
ひなのはオレのことを考えて行動していてくれたのだから。













今はこのポジションでいい









(で、三井さっき何しに来たの。)
(あ?あー、教科書かりに。一冊もねーんだ。)
(……ねぇ三井勉強する気ある?)
(は?)
(もう昼休みになるよ。今日の今までの授業どうしてたの。)
(そ…それは、…!)
(…赤木くんに怒られるよ。)
(…………。)




*****
短くてすみません(._.)

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