「あー!浅香先輩!!」
「あー!日向ー!今日も元気だね!」
「はいっ!」
ニコニコやって来たのは(バレー部の)後輩日向、そして。
「チス。」
「やっほー影山!相変わらずテンション低めだよねー。」
「何すかそれ。つか笑うな日向ボゲクソ!」
「あと日向を怒るときいっつもそんなんだよね!」
「……!!」
「ぎゃはははは!」
がーんとショックを受けたかのようの影山と大笑いの日向。
うんうんこの子らはほんと面白いわ。
しばらくこの様子を眺めているのもいいけれど、なんだか影山が気の毒に思えてきた(私のせいだけども。)のでよしよしと頭を撫でてみる。
すると固まる影山と顔を真っ赤にさせる日向。
「よしよし、君らほんと面白いね。」
「「……………。」」
面白いと言われてどこか微妙な顔をしている二人にまたけらけらと笑う。
「ごめんごめん。私君らにはすごい期待してるからね。頑張れ未来のエース!」
「!ハイっ!!」
「そして大地さんを春高の舞台に連れていってあげてよ!!」
「モチロンです!!」
「当たり前っす。」
「うんうん。楽しみだなぁ。」
春高というフレーズに目の前の一年二人の表情はガラリと変わる。
こちらがぞくりとするほどに。
これは本当に先が楽しみな子達だ。
「私もいっぱい応援するからね!大地さんが春高行けるように!!」
そう声高々と言ってみせれば二人は互いに顔を見合わせる。
そんな様子に首をかしげる。
「なに?」
「…いや、本当に浅香先輩はキャプテンのこと好きですよね。」
そうしみじみと言う影山。
しかしその言葉に頬は緩む。
「でへ!まあね!」
「キャプテンも浅香先輩のこと絶対好きだよな。」
次に日向がそう言う。
彼の言葉に私はエッと声を上げる。
「だってキャプテン、浅香先輩に優しいですよね!」
「えええほんとにそれほんとにそう思う!?」
ガッと日向の肩をつかみ視線を合わせると(日向は私と身長がほぼ同じである)日向は顔を真っ赤にさせながらコクコク頷いた。
その様子がまるで人形のようで可愛いなぁなどと考えていれば肩をガッとつかまれ後ろに倒れていく。
「え、わ、ととと、おお?」
突然のことにあわわとなっていれば後ろ向きのままポス、と何かにぶつかる。
正面にいる日向と影山は二人そろって「あ。」という表情をしている。
そんな様子に「?」を浮かべ、そして後ろを振り返る。
そして目をキラキラ輝かせる。
「きゃ!大地さんじゃないですか〜!こんな所で会えるなんてラッキーですね!」
「…………。」
黙っている大地さんを不思議に思いつつ私はペラペラと話かける。
「いやぁとほんとラッキー幸せガールですよ私!」
「俺は別にラッキーでも幸せでもないけどな。」
「またまたぁ〜そんなこと言っちゃって!ふふふ!そういえば何か用ですか?」
ニカッとしながらそう尋ねれば、大地さんは一瞬固まる。
それに首を傾げていると、大地さんは一つ咳払いをして口を開く。
「…ウチの後輩に絡むのはやめてくれないか。」
「絡むだなんてそんな!可愛い後輩を愛でて何がいけないんですか!ねぇ日向!影山!」
大地さんの言いようにムキッとなって反対側にいる二人に言えば彼らは表情を固めていた。
「?どうしたの二人とも。」
「「あ、いやなんでも。」」
「…そう?」
コクリと同時に頷く二人に本当にこの二人は息が会うなぁと考える。
そしてふと後ろにいるはずの大地さんを見れば、彼はもう歩き出していた。
影山と日向にじゃあ、と一言言ってから慌てて大地さんの後を追う。
「ちょっと待ってくださいよ〜!せっかく会えたんだからもうちょっとお話ししましょ!っていうかさっきなんで肩つかんだんですか?」
「別に理由はないから。」
「ええ?でも、」
「ないから。」
「そうですか?……ま、いっか!大地さんに会えたし!」
ワイワイ(浅香が)しながら去っていく先輩方二人を見送りながら影山と日向は息を吐く。
「あービックリした!!」
「やっぱキャプテン浅香先輩のこと好きだな。」
影山の言葉に日向はうんうんと頷く。
「だってあんな怖い顔して先輩の肩引いたの、俺と顔が近かったからだよな?すっげー怖かった!」
フーと息をつき歩いていく先輩方を見る。
浅香が大地に抱きつこうとして彼はそれを簡単に引き剥がす。
しかし嬉しそうに大地の横を歩く浅香を大地は呆れた表情を見せながらもそれ以上の距離は取らない。
「…仲良しだな。」
「うん。」
当の本人には気づかれない嫉妬
(ああそういえば、)
(?)
(春高には日向と影山の協力も必要だけど…あいつらだけの力で行こうなんて考えてないからな俺達三年は。)
(そっ、そんなの分かってますよ!!でも日向達は大地さん達と一緒に春高に行きたいんですからねっ!!)
(…わかってる。絶対あそこへ行く。)
(ハイっ!)
140928