BL・シリアス・捏造要注意
ーん!



10年後、きみのとなりに僕がいない


ぐるぐる、トンネルの中はぐるぐる回ってた。その長いトンネルを抜けて、オレの知らない世界へ放り込まれたと思ったら、その世界は「まっくら」だった。まっくらな世界、何も見えない世界、オレは瞳を開いてるはずなのに、何一つ光が無くて、光を求めてあちこち、何か無いかとあらゆる物に触れた。

ギィイ、

重い音の代わりに得たものは光。何かに閉じこめられていたようだけれど、それも容易に脱出出来るものであった。光を見つけたことの嬉しさにほっ、と胸をなで下ろしたけれども、そうはいかなかったようだ。オレが横たわっていた場所は、棺桶の中。此処は10年後、イコール、十年後のオレは、   。
色々なショックから何かを叫びたい衝動に駆られた。

「えええええー!」


ばさ、さささばらら、


何か物が落ちる音がしたと思えば、其処には見慣れた銀髪が。見慣れた銀髪だったけれど、少し目線が高い、ああ、10年後の獄寺くんだ、かっこいいなあ、やっぱり。なんて思ったら、獄寺くんは今にも泣き出しそうな顔して抱き締めてきた。―そうか、この人は、この世界でオレを失ったばかりなんだ。10年後の世界で、どうして、オレは君の傍にいないのだろう。どうして、オレの傍に君がいてくれないの。君は右腕じゃないの?ずっとずっと、一緒に居てくれるんじゃないの?

「すみません…!すみません、オレと言うものがありながら、貴方を…!」
「獄寺くん…!獄寺くん…!」
「お詫びしてもお詫びし切れません、十代目…っ!十代目、沢田さん、…っ!」

愛しい人がこんなにも、ぐちゃぐちゃに涙を流している。オレはなんてばかだろう。10年後のオレってやっぱりダメなんだなあ、ダメツナ脱出しきれてないよ、愛した人を泣かせてるだなんて。

どうか、これは夢でありますように。どうか、こんな未来を本当に歩むことがありませんように。君が悲しい涙を流すことがありませんように。



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