BL・シリアス・捏造要注意
ーん!



棒付きアイス




 この東洋人はアイスクリームと言うものを食べた事が無いらしい。
 はて、ジャッポーネにはそのような食物は無いのか。オレが首を傾げたのは言うまでもない。

「あいすくりんと言うものはどんなものでござるか?」

 小動物を思わせるその好奇心に溢れた眼差しに何とも言い様が無い気持ちに駆られたのは言うまでもない。

(いかん、オレは聖職者だぞ!)

 情けない事を己自身に言い掛けつつ、雨月にアイスクリームを差し出してやった。それも棒付きのものである。

「ほう、これがあいすくりんでござるか……一句詠むべきでしょうか、ナックル殿?」
「早く食え」
「ははは、せっかちな男でござるな、ナックル殿は」

――いや、溶けるぞ、アイスが。

「ではいただきます」

 行儀よく挨拶してアイスクリームに食らい付く。それは良いが。

――遅い。

――とてつもなくのろのろと食べているのだ、この男は。

――ボタッ。

(ほら、言わんこっちゃない)

「……ナックル殿……!」

 見るな、こっち見るな、小動物のような目で見るな!

「さっさと食べないと溶けるし、食べ方にも気を配らなくてはならんぞ、これは」

 ほら、と、オレの食べ掛けのアイスクリームを差し出すと、一瞬瞳の輝きを瞬かせ、ぱくりとアイスクリームに食らい付いた。

――ポタッ。

(鈍臭いな、こいつは)



*雨月役山本くん(ややこしい)のコラムにアイスクリームが溶けていて変な声を出した!とあったから、つい。


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