Mis2 scene4 | ナノ




──scene 4



 連れられた先は倉庫のような暗い場所で、車に乗せられた。さっきまでレンさんが運転していたものだ。運転席にお兄さんが、助手席にメイコさんが乗る。
 あれ? あの、もう一人の女の人は?


「ルカは居残り」
「い、居残りって」
「いろいろ処理お願いしてんのよ」
「僕、レンみたく運転上手じゃないけど我慢してね」


 いきなり、車が発車した。しょっぱなから前回なアクセルに舌を噛みそうになる。
 ていうか室内なのに?
 そう思ったら、前面のシャッターが開いて上り坂を進む。白い光が前方に表れて、そこに飛び込んだ。


「え……!?」


 今までいたとこ、地下…だったの!?
 後ろを振り返ると、そこは何の変哲もないちっぽけな倉庫だった。さっきのモニタの映像を思い出してみると、この人たちを襲おうとしていた彼らは見当違いな場所を襲撃していたことになる。
 唖然としていると、急カーブでドアに叩きつけられた。慌てて取っ手を掴む。


「無事脱出、かな」


 呑気な声でお兄さんが言った。脱出って、どういうこと、と見てみれば、武装集団は遥か後方に。
 そして、


「おいコラてめぇカイト! 俺の車乱暴にしてんじゃねえよ!」


 横に、バイクが並走していた。レンさんが運転していて、後ろにリンさんが乗っている。
 いつの間に着替えたのか、レンさんは黒いボトムにジャケット、リンさんはそんな格好で戦場にいたのかという、黒いシンプルなドレス姿。相変わらずスカートがはためいていて白い足が付け根…どころか、たまに下着まで見えている。


「リンちゃーん! 怪我はない!?」


 お兄さんが窓から身を乗り出した途端に、大きく揺れる車体。メイコさんが舌打ちをした。


「兄さん、あたしは平気よ。だからほら、ちゃんと前を見ないと。ね?」
「無視してんじゃねえよシスコン野郎。ぶっ殺すぞ」
「全くだわ。じゃないとあんたのその運転でこっちが殺されかねない」
「言っとくけどな、他のときはぜーってえ貸さねえからな。つーか今も本当は殺したいほど嫌だってこと覚えてろよ」
「レ、レンくん…めーちゃんまで」


 今さっきまで身を置いていたあまりに殺伐とした現場からかけ離れた、惚けた会話。レンさんはお兄さん…カイトさんの運転に本気で苛立っているようだけど、それすらさっきの光景と比べるとじゃれているようにしか見えない。


「じゃあこれはお土産ね」


 ふと、リンさんが振り返って右手を掲げた。その先にあるのは、黒光りする細長い銃。詳しくないからよくわかんないけど……。
 それが、火を噴いた。
 後ろを振り返ると、クラッシュする車に転倒する人。ああ付いてきてたんだ。
 本日二度目の逃走劇。


「で? 新しいとこってどこよ」
「ちょっと遠いかしらね」
「ええ? めーちゃん運転代わってくんない」
「げ、やめてくれ、メイコよかカイトのがマシだ」
「あっそう。カイト、あと十分走ったら交換しましょうか」
「メーイーコー!」


 コミカルなやりとりに、思わず噴き出した。聞こえてしまったのか、メイコさんが振り返る。


「ミクちゃん。悪いけど付いてきてね」
「はい」


 正直なところ、どうしてここまで付き合っているのか、とか、逃げた方が良いんじゃないかとか、色々考えるべきことはあったのだけど。
 でもまぁ、いっか。


【MISSION 2】敵陣から脱出せよ
──Complete.



20120902



 脱出はもうちょっと凝りたかったんですがいまいちまとまらなかったのでこんなことにorz
 とりあえず今回はキャラ紹介です。シスコン兄さんブラコンリンさんを書けたのでもう満足。あれ紹介ってほどされてない…?
 ……次回に持ち越ーし←
 あれで全員と言うわけでもなく、他にも登場させる予定があります。この設定すっごい楽しい。