Mis8 scene0 | ナノ





――scene 0



「ねぇミク、リンとレンって生き別れの姉弟だったってほんと?」
「はぁ?」


 何かと思って振り返ると、ミクオの奴が大判の紙の束をひらひらと振っていた。リンとレンが姉弟なんて、そんな話聞いてないんだけど。と内心驚いていたけれど、ミクオの持っているその紙を認識して納得。ここは地下倉庫で、今は掃除途中、終わらない書類整理にうんざりする気持ちはわかりすぎるほどにわかるけれど。


「それ、信じない方が良いって」
「そうなの?」
「最後の面に書いてあったんでしょ、その情報。書いた人が面白がって書いた嘘八百だからって、メイコさんが言ってたわ」


 ミクオが読んでいたのは、いつか見たSOJ新聞の古いやつだ。最後の面以外は、かなり正確で貴重な情報らしいのだけれども、その分息抜きで面白がるらしい。


「へぇ。まああの二人の距離感で姉弟だったら問題だよね。あ、でもこれなんて信憑性ありそうだけどな、ルカさんの男百人斬り」
「逆に嘘臭いでしょうが」


 ていうか何でルカさんのネタってそれ系多いの。好奇心で積まれた新聞を見ても、まァ見事にそれ系。……でも、百人はないにしてもありそうな感じもする。こないだ見た洗濯物の下着思い出すだに。
 脱力していると、突然ばーんと扉が開かれた。びっくりしたのは私だけらしく、ミクオのやつは平然とそちらに目をやった。


「嘘八百なんて失礼ね! それは単なる遊び心だもん!」


 逆光の中で柔らかく靡いた髪。くっきりとした気の強そうな、でも可愛い感じの目鼻立ち、華奢な肢体に似合わない無愛想な迷彩カラーの服を身に纏い、大きなゴーグルをあげて、彼女はにこりと笑った。


「やあはじめまして。私が、新進気鋭の情報屋! グミと申す」
「………はじめまして………?」


 またヘンな人がやってきた。




















20141018