Mis4 scene5 | ナノ





――scene 5



「行っちゃったみたいね」


 ドアの方を見て、リンが言う。さっきまで立ち聞きをしていた人物は、もういない。


「聞かれちゃったか」
「分かってたくせに?」
「バレた?」
「バレるわ」


 随分意地が悪いのね、とリンは歌うように笑った。そんなのわかってるだろ、とレンもからかうように応じる。


「聞えよがしにあんなこと。あの子、貴方のこと全力で気にするわ。やっぱり忘れられてるの、気にしてるのね」
「そりゃ、良い気分じゃないよね。僕には大事な想い出なんだから、ちょっとくらいの意地悪許して欲しいよ」
「そうね、思い出はどんなときでも綺麗だわ」
「聞かないの?」
「聞いて欲しいの?」
「いーや。聞くってことは、聞いても良いってことでしょ。僕は聞いて欲しくないし、君たちのことを聞くほどの覚悟もないからね」
「ご明察」


 茶目っ気よろしく、リンが右手を銃の形にして、ばーんと撃つ振りをする。銃口が向いた先で、ノリよく撃たれた振りでよろけた。


「ああでも、あたしから一個だけ聞いとこうかしら」
「何?」
「貴方の名前。あの子と何か関係あるの? 始め、兄妹かと思ったんだけど」


 今後、もし兄妹なら気の使い方も違ってくるでしょ、とリンは嘯いた。
 ああ、と応える声は、若干の追憶を孕む。微かに笑んだ口元は、まるで夢を見るような。


「兄妹じゃないよ。ただ、この名前はあの子からもらったものだから。僕はその代わりに、あの子に歌をあげたんだけどね」


 良い名前でしょ、と、笑う男の名前は、ミクオと言った。












【MISSION 4 賭場荒しのイカサマ師を捕まえよ】
――Complete.



















20140621



 とうとうやってきましたミクオ! 今回から少しずつ伏線張って回収していきたいと思います。クオさんまじクオさん。
 今回多分初めてミクオの一人称を僕にしました。もしかしたら過去にあったかもしれないのですが。(←案の定ありましたっていうかボカロ設定だと僕でしたねorz)というのも、初期設定表見てたら、「人畜無害」の項目があったのです。結崎は驚愕しました。人畜無害……?
 なのでさわやか青年になるかなととりあえず「僕」を採用したんですが、なんか余計胡散臭いですねw
 ミクオが登場させるのは絶対カジノと決めてました。第一印象で決めてました。こいつほど似合うのはいないと勝手に思ってます。あ、もう人畜無害の前提がこの辺りで崩れてますね。イカサマやってて人畜無害って。しかも女の子にだらしない感じもあるあたりどうしようもないです。こっから是が非でもクオミクにつなげたい。
 ここまでミクオの話しかしてないことに驚愕しました。カジノゲームはイカサマありでレンも得意ですがミクオには及ばない設定も付け加えときます。リンはルールを覚える気すらありません。このミクは腹芸ができなそうなので向いてないと思います。めーちゃんはカジノでの賭け事はあんまり好きじゃなさそうで、ルカさんは仕事ならやるけど興味なさげ。カイトは強いと思います。ミクオ>カイト>レンの順。