第4章 シンドリア編
01. それぞれの様子
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八人将、白龍登場!
お祭りでひと悶着あったり紅玉と進展があったりします。ラナンのもう一つの名前に少しだけ関係したり。
気絶したままのアリババ君と共にアラジンやモルちゃん達とシンドリア王国に向かう。本来ならわくわくするところだが、そう浮かれた気分ではない。
周りが海しかないこともあり、なんとなく力魔法を使って杖を長くし、横に腰かけて船の少し上に浮かぶ。船にいるより風が当たって気持ちいい。
しばらく支柱に掴まってぼーっと海を眺めていると下で人が出てくる音がした。
見てみるとアリババ君だ。目覚めたらしい。
スウッと下へ降り、船の端に降り立ったところでジャーファルさん達も出てきた。
「バルバッドじゃない……」
見えてきた島を目に、アリババ君は呆然としたように呟く。
「あれは、シンドリアです」
ジャーファルさんの声にアリババ君が振り返った。
「あなたにはずっと薬で眠っていただきましたので。全てシンの指示です。シンドバッド王は現在、煌帝国に向かっています。バルバッドの話をつけるために」
「何の権利があってそんなことをするんだ!」
「確かに、何の権利もありません。だが同時に、シンがあなたやバルバッドを救う義務もないのです」
ジャーファルさんがはっきり言うとアリババ君は顔を伏せた。
「…っ、くっそぉ……くっそぉぉ……」
それから一ヶ月の間、アリババ君は元気がなかった。
一人部屋に閉じ籠ったまま出てこようとしなかったり、食事すらほとんど手をつけなかった。
そしてそれはアラジンも同様だった。こちらはウーゴ君のことがかなりショックだったのだろう。
でも一ヶ月を過ぎた頃からは二人とも落ち着きを取り戻していき、少しずつ元気になっていった。食事もとるようになり、ラナンは喜んでいた……の、だが。
「ちょっ、ジャーファルさんそれ多くないですか!?」
「なに、これくらい元気になることと比べたらどうってことありませんよ」
「それにしたってそれは多すぎですよ!太らせる気ですか!?」
「後で痩せればいいじゃないですか」
「……“ヘンゼルとグレーテル” の魔女みたい……」
「魔女…?何です、それ?」
「童話です、故郷の (知らないのか…)。」
主にジャーファルさんが二人の思うままに料理を運んでいくので、二人は見る間に丸くなっていく。美味しいのはいいことだがそれにしたってあの太り様はひどい。
あぁあ、バルバッドのときの見た目はどこへ……。
ちなみにラナンはその間、基本図書室に籠り本を読みあさっていた。時々本に出てくる絵を描いたり物語を書いたりと、とにかく好きに趣味をやっていた訳だ。
他にもヤムさんのところに行き魔法について訊いたりもした。お陰で魔法についての知識もつき、水魔法についてはかなり知ることが出来た。
モルちゃんはマスルールさんと修行を始めたようだった。
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