憧れてたんだ、ずっと。



「おい。またぼーっとしてるぞ、お前」

「あー…ああ」



図書室の一角、友達のツッコミも上の空で俺はある方向をぼんやり見続けている。



「ったく、声くらい掛ければいいじゃん。これじゃあストーカーだからな」

「うるせー」




そう、俺の視線の先にはある一人の女の先輩がいた。


数ヶ月前に困っていたところを助けてもらってから俺は先輩に憧れを抱いていた。


そんなことから俺は友達を引き連れて毎週図書室に来ていた。
図書委員の先輩の当番の日だ。


そうやって毎週昼休みギリギリまで図書室に居座って遠目に先輩を眺めていた。



あ、これホントにストーカーだ。



「ほら、昼休み終わるぞ。本借りてこいよ」

「…うん」



文句言いながらも付き合ってくれる友達はいい奴だな、なんて思いながら俺はカウンターへ本を持って行く。



近づける最大のチャンスってのもあるし、元々本は好きな方だからよく借りてる。


お願いします、と差し出せば先輩が対応してきてなんだかドキドキした。

すると、作業を終えた先輩は俺を見てにこりと笑った。



「よく借りに来るよね。本好きなんだ」


本を差し出しながらただ、そう一言。



それでも俺には衝撃すぎてろくな返事が出来なかった。




こころ、安定をなくす
(え、覚えられてた…!?)




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