「えー…?皆どこー?」



友達と夏祭りに来ていた私はあまりの人の多さに皆とはぐれてしまっていた。

人混みの中で皆を見つけるのは難しい。


「早く見つけなきゃ…」



少しだけ心細いなぁ。


「あ、いたいた」



そんなことを思っていた時、後ろから声が聞こえた。
聞き覚えがある声に私は振り返る。


「…あ…」



それは一緒に来ていた男の子の一人。
私を見つけた彼は、ほっとしたような表情になる。



「はぁ、良かった。皆も心配してるよ」

「…ごめんなさい」


うなだれる私に彼は優しく微笑む。
なんだか安心出来る笑みだった。


「しょうがないよ。この人混みだし。とりあえず皆のところに戻ろっか」

「うん」



二人で歩き出したものの、相変わらずの人混みに彼との距離が離れていく。


なんか…またはぐれそう…



すると彼が振り返り、右手を差し出した。



「はい」

「…え?」

「その…またはぐれたら大変だしね」

「う、うん」



少し照れてるように見える彼を見て、私も緊張気味に左手を重ねた


暖かい彼の右手にしっかりと握られた左手。




心臓が大きく音を立てた。




皆と合流してから手は離れたけど、鼓動の速さと左手の暖かさがしばらく消えることはなかった。






微熱をともなう手と心
(熱が下がらないよ)




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