(学パロ/男子)
「無理だ」
「俺もーっ!」
夕日が差し込む放課後の教室。
横に並べた2つの机に向かいながら響とケンはうなだれていた。
「泣き言言う前にやろっか」
2人の前にはにこりと微笑みながらばっさりと言い放つテルの姿。
テスト前にある毎度お馴染みの光景だった。
「毎回毎回…ホント飽きねぇよな」
「飽きる飽きないの問題じゃないような…」
「…それにつき合わされる俺らも俺らだろ」
少し離れた所にレン、ダイ、ユースケの姿。またの名を監視役。
ちなみにソラと彩音は暗くなる前に帰らせた。
「いや、本当に限界…もう何見てるのか分からねぇよ…」
「頭がパンクするー!」
「それだけ話せる元気があるんだからまだ大丈夫だね」
((鬼だっ!))
容赦はないが付きっきりでテスト勉強を教えていたテルはため息を吐いた。
「2人ともこれを頑張らなきゃギリギリだよ?いいの?」
何気なく言ったテルのその言葉にぴくりと反応した響とケンは突然立ち上がる。
「俺達、ギリギリで生きていたいから!!」
「ここを今飛び出していくんだ!」
それは一瞬のことだった。
そう言ったかと思えば驚く程のスピードで逃げ出した。
「「「…は?」」」
その場にいた監視役3人は思わず呆気にとられ、2人が逃げていったドアを見つめる。
が、それも一瞬のことですぐに揃って背筋を凍らせた。
テルの周りの空気が恐ろしすぎて振り返れない。
「……レン、ダイ。悪いんだけど、捕まえて」
「ああ」
「はい」
抑揚のないテルの声にレンとダイは逆らうことなく教室を出て行った。
運動神経抜群の2人に追われて、逃げ切ることはまず不可能なことだ。
数分も経たずに見事に捕らえられた響とケンは教室に連れ戻された。
「ケン、響」
「「は、はいぃ!!」」
「おかえり」
連れ戻された2人をテルはとても綺麗な笑顔で迎えた。
その後、どうなったかは言うまでもない。
「…ユースケ、見てねぇで助けて」
一縷の望み、と言わんばかりに唯一何もせず傍観に徹していたユースケに助けを求める。
話を振られたユースケは一瞬呆けた顔をした。
そしてばっさりと返す。
「無理だろ」
004:傷を舐めろという事か?
(Dioptase/翠銅鉱)
(そんな方法知らないけど)
―――――――
味方がいない。
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