(学パロ/響とユースケ)









「……顔面偏差値が高い奴は大変だなぁ」


遠巻きにそのやりとりを眺めつつ、しみじみ思ったことをぽつりと呟く。


休みの日にユースケを半分無理矢理連れ出した時のこと。

それなりの人で賑わう繁華街、俺は休憩がてら飲み物買ってくる、と少しだけユースケから離れていた。

その間ほんの数分。

たったそれだけの間にユースケは二人の女性に声を掛けられていた。
いわゆる逆ナンってやつだ。


…まぁ、よくあることなんだけど。


とりあえず、面白そ…いや状況を把握するために近付かず遠くから見ておくことにした。


会話のやり取りは聞こえないけど、大学生くらいに見える女性達は相当諦めが悪いみたいだ。
遠目から見てもユースケがあからさまに嫌そうな、面倒臭そうな顔をしていて、少なくとも一度は拒否の反応を示しているのが分かる。
それでも女性達に去る様子はない。
そこまでユースケがいいのか、すごいな。


こういう時のユースケって運が悪いのかなんなのか、断っても粘ってくる相手が多い。


もう一人のよく逆ナンにあう友達…レンの時なんかはすぱっと断って…いやあれはレンが強すぎるだけか。
なんせ相手がしつこい場合のレンは目だけで人を殺せそうなくらい怖いし、容赦がない。
あいつ、女性嫌いなのかな?
いやでもソラいるし、彩音とも仲良くしてくれてるしなぁ。

そういや、もし他の奴らがこんな状況になったらどうするんだろ。
テルは問題なく対応しそうだけど、ダイは焦りそうだ。
ケンは…逆ナンより変な勧誘されそうで別の心配があるよな。


おっと、思考が脱線した。


慌てて様子を見ればやり取りはまだ続いている。

レンと違ってユースケの場合はあっさり断りはするけど、冷たすぎる対応をすることが出来ない。
なんていうか、ユースケはあまり酷い暴言吐いたりしないんだよな。
対応や口調で誤解されやすいだけでユースケは優しい奴だから。
面倒くさがりでやる気はないけど、なんだかんだで付き合ってくれるし。


いやぁ、良い友達持ったもんだよ、俺。
俺の周りみんな良い友達だけどさ。


そう思いながら感慨深げに頷いていると、ふとどこかから視線を感じた気がする。

誰か見てる…?


「……あ」


その正体に気付いて思わず声をあげた。


遠くにいるユースケが俺の方を見ている。
つーか、思いっきり睨んできている。


どうやら本人に気付かれたらしい。
早く助けろと完全にオーラが訴えている。
オーラ見えないけどなんとなく。


そんな姿につい苦笑を返す。


女性達には気付かれてないのがラッキーだ。


「…もうちょっと見ときたかったんだけどなぁ」


面白がってんの怒られそうだななんて思いつつ、俺は助太刀に向かうために一歩踏み出したのだった。






024:見るもの、睨まれるもの
      (EyeAgate/目玉石)




(遅ぇ、と後で文句を言われた)





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そういう響も顔面偏差値は十分高い




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