(学パロ/レンとソラ)※過去話
最初に持った印象は赤と白だった。
「なにしてるの?」
施設の裏手、誰も来ない場所に1人でいた俺にそいつは話しかけてきた。初めて見る顔だから今日来た奴なんだろう。
包帯とガーゼで隠れていて顔の半分しか見えない。
それでもその表情はどこか楽しそうでにこにこと笑っていた。
変なやつ。
「かんけいないだろ」
俺はただそれだけ言ってそいつから離れた。
誰かと関わりを持ちたくなかったし、
信用したくなかったから。
俺はひとりで生きていかなきゃいけないんだ。
「……」
歩みを止めて振り返る。
そいつは俺の後ろをぴったりとついてきていた。
相変わらず楽しそうで。
「ついてくんなよ」
冷たく言い放つ。
それでもそいつはついてきた。どこにいてもそいつは必ず俺を見つけて、笑いかけてきた。
まるで俺のいる場所なんて最初から分かっているみたいに。
「…おまえ、なんでそんなにおれにかまうわけ?」
そんなことが何日か続いたあと苛立った俺はとうとう直接そいつに尋ねた。
俺の問いにそいつはきょとんとしたように瞬きしたあと口を開いた。
「きみのめが、」
「…なんだよ?」
「なんだかさびしそうだから」
「!! そんなことねーよっ!」
思わずかっとなって声を荒げたのは図星だったからかもしれない。
「そらがいるよ」
「…え?」
突然そんなことを言ってくるから、呆気に取られた。
気づけば、そいつは上を見ていて。
つられるように見上げて、目を見張った。
そこには青が広がっていた。
雲ひとつない、吸い込まれそうなほど深い色。
今までで一番綺麗な青空が。
「ひとりじゃないんだよ」
「……」
その言葉はまるで自分自身に言い聞かせてるようにも聞こえた。
いや、もしかすると本当に今までずっとそうやって寂しさを紛らわせてきたのかもしれない。
やがて、再び俺を見たそいつははにかみながら笑った。
「なかよくなろ?わたしもきみといたい」
そう言って小さな手を俺に差し出した。
何故かは分からないけど、その真っ直ぐな言葉は俺の心にすとんと落ちてきて不意に泣きそうになったのは覚えてる。
「…ああ…」
小さく呟いてその白で埋められた手をそっと握った。
002:空と私が味方
(BlueLaceAgate/空色縞瑪瑙)
(おまえ、なまえなんていうの?)
(わたし?わたしはね…―)
―――――――
救われた2人のひとりぼっち
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