清々しい晴天に恵まれた日曜日。氷帝学園高等部男子テニス部の部室前に、夏目と小花は居た。現在の時刻は、小花が向日から伝えられていた集合時間である8時に変わったところだ。

合同とは言え、練習。それも自分たちは見学だと言うのに指定された時間はあまりに早すぎると夏目は感じていた。そしてその違和感の正体は、にこにこと綺麗すぎる笑顔を携え現れた、滝萩之介によって明かされるのだった。


「一日マネージャー?」


告げられた言葉にただひたすらに疑問符を浮かべる夏目の横で、小花はこれは面倒くさい流れだ、と察して項垂れた。きいてないよ、と漏れた彼女の言葉に言ってないからねと返す滝は、やはり美しく微笑んでいる。


「あたし達は見学ってことで来ているんだけど……それがどうして、一日マネージャーなんて話に?」
「そりゃあ、マネージャーが一番近くで見学できるじゃない?」


さも当然のように答える彼に、疑問を投げかけた夏目もその通りだと思わず感心してしまう。さらに滝の口から追い討ちのように、適当な人員を集めて手伝いをさせるよりも、現役テニス部員であるふたりが手伝ってくれれば効率が良くて助かるのだと付け加えられると、夏目は完全に納得してしまった。

……もう選択肢は無いのだろう。小花は半ば諦めたようにこの現実を受け入れる事にした。と、ひとつ浮かんだ疑問を滝へ投げかける。


「マネージャーの件はもう、なんにも言わないけど……わたし達この格好でいいの?」


お互いカジュアルな服装ではあるものの、とても部員達の補助として走り回れるのに適しているとは言えなかった。


「それは大丈夫、こっちで準備してるから」
「用意周到だな……」


聞けば、葵と梨子の練習着を、余分に用意してもらっているらしい。確かに彼女たちと夏目達の背格好は似ているし問題ないだろう。
そこまで準備をしてもらっているなら仕方ない、と小花も改めて覚悟を決めると、滝に案内され、練習の準備を始めるマネージャーたちの元へと向かうのだった。


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