小さな丘


吹き抜ける風は心地良くて、此は僕の秘密の場所。
町の外れにある、小さな丘。

中心に大きな桜の木が植わっていて、春にはお花見ができる。
町を一望すれば、所々から聞こえてくる笑い声や子供のはしゃぐ声がとても賑やかで、心が和むようだ。
頬を触れる柔らかい風は僕を包んでくれて、いつでも優しい気持ちにしてくれる。

例えば、友達と喧嘩した時。
僕はよく此に来て、桜の木にそっと触れてみるんだ。そしたら何故だか気持ちが楽になって、仲直りしたくなる。

例えば、叱られた時。
なかなか謝れなくて意地を張って逃げてきても、桜はちゃんと見てて、僕に何かを訴えてくるんだ。
冷たい風が吹けば葉が揺れて、桜が泣いているように見える。
だから僕は、素直になれるんだ。

僕は此が大好きで、そして何故だか憧れてる。
爽やかな風と、大きな桜。同じ瞬間にそれらが有ると言う事が、憎いくらいに美しいからだ。

back top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -