「ねぇ平介温泉行こう」
「んー、………はい?」
「だから温泉。景色のきれいなとこがあってね」
「温泉?俺と?」
「うん。そう」
「…なんで俺?」
「なんでって、近くに甘味屋あるよ」
「あぁそれで。断られないと」
「うん。佐藤と鈴木じゃそうはいかないでしょ」
「じゃなくて、女子を誘うという選択肢は」
「一人でゆっくり入りたいと思って、温泉」
「……それなら一人で行けばいいのでは」
「それはさみしい。それに少しは観光も楽しみたいじゃない」
「まぁ、ねぇ。女子大生の温泉一人旅っていうのも粋なもんじゃないかね」
「………私昨日マフィンつくってね、今日持ってきてるんだよねぇ」
「……(ミョウジの手作り…珍しい……そしてスゴク魅力的)」
「平介にあげようと思ってたんだけどねぇ」
「そんなに行きたいの」
「うん。だから平介に頼んでる」
「…んー、まぁ」
「やった」
「まだ行くなんて一言も」
「ごめんもう予約とってる」
「……は」
「いいでしょ?マフィンも甘味屋も、あるよ」
「…混浴も、ありますか」
「知らない。平介もそういうの興味あるんだ」
「どうせミョウジと行くなら一緒に入りたいじゃない」
「私は一人で入りたいから平介誘ったんだけど」
「男を温泉に誘う時点でなにかしらの覚悟は必要だと思いますよ、お嬢さん」
「ウワァ、平介にそんなセリフ似合わない」
「……はぁ。早くマフィンください」
(130503/大学生の旅行計画)